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| 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) |
〜 誠実、信 〜
− 作為のない真心こそ 愛と感動を呼ぶ −
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卦辞: 中孚。豚魚吉。利渉大川。利貞。(ちゅうふは、とんぎょきつなり。たいせんをわたるによろし。ていによろし。)
キーワード:愛情、親和、感化、子煩悩、意気投合、邪心は凶、説得、人の為に苦労、恋慕、親睦、妊娠、火災、 など
解説&運勢:この卦は真心満ち溢れた誠実な愛情を表す卦です。中孚(ちゅうふ)の孚(まこと)という字は「誠」「信」という
意味です。孚=爪の下に子と書きますね。 親鳥が爪で卵を抱き温めている姿を表す字なのです。 親鳥が
爪で卵を抱き温めるのは、それが義務だからといってするのではなく、温めなさいと誰かに言われたのではなく、
我が子への一点の曇りもない大いなる慈愛にほかならないですよね。 この卦は上は誠であって下に順い、下は
信をもって、悦んで上に従うという徳があります。 まるで親鳥がくちばしでひな鳥の口に餌を与えているように
見えてきます。(互卦に、飲食を表す「頤」があります。) 序卦伝では、「節して而してこれを信ず。故にこれを受くるに
中孚を以ってす。」とあります。 節度があってこそ、信頼関係が育まれるというのですね。 節には信頼という
裏づけがなければ、かたちばかりの空々しい節になってしまいます。 また、豚魚吉。とありますが、これには
色々な説があるようです。 豚魚=イルカという説についてお話しますと、この、イルカが水面に現れた時には
風が吹くそうです。船乗りは、イルカの口の向きを見て舟を出したり止めたりしたそう。 何故ならイルカの口の
向きで、吹く風向きが違うそうで、それを風信と呼んだそうです。 イルカが示す風向きは、信頼に値するほど
正しいらしく、人もまたイルカのように、信頼して疑わない、裏切らない関係は吉ということになるのですね。
故に君子は、誠信を尽くして訴えを裁くと共に、罪をおかした人を信頼して、厳罰を避けて死を免じ、更正するよう
努めるべきというのです。 運勢的には口が向かい合ってる象として、信頼関係、親和するとします。表面華やか
でも、内実の伴わないこともあります。 信実をもって人と親和していけば、順調をえられます。但し、恋愛関係で
問題が多いといえます。
☆初爻 − 爻辞:虞吉。有它不燕。(はかればきち。だあればやすからず。)
解説&運勢:陽位に陽でいて、位は正しく、また、六四とも応じています。このような正しい処に安んじて
いることは吉なのです。 しかし、そこで何か迷いが生じたり、惑わされたりしてしまうと
折角の安らかな現状がぐらつき乱されてしまいます。 運勢的には周囲の目を気にせず、他に
心を動かされぬよう安んじて吉の時です。(小吉)
☆二爻 − 爻辞:鳴鶴在陰。其子和之。我有好爵。吾興爾靡之。(めいかくいんにあり。そのここれにわす。
われにこうしゃくあり。われなんじとこれをともにせん。)
解説&運勢:中孚の最も美しい愛情を表す爻です。夫婦の美しい信頼関係を表す爻。たとえてみるなら
妻である雌の鶴が山陰の沢の中から声をあげて夫である雄の鶴を呼び求めると、雄の鶴も
これに応え声をあげ鳴き和すようなものです。 そこで共に美酒を酌み交わし、楽しみましょう
というのです。 運勢的には人と親しみ、利益も分かち合いましょう。以心伝心の時です。(大吉)
☆三爻 − 爻辞:得敵。或鼓。或罷。或泣。或歌。(てきをえて。あるいはつつみうち。あるいはやみ。
あるいはなき。あるいはうたう。)
解説&運勢:下卦の卦極にあり、とかく行き過ぎなところがあります。上九とは陰陽応じあっているものの、
六四とは陰同士ということで、敵として攻撃を挑むのです。六四は位が正しい君子ですが、
六三は陰柔不才な小人ですから勝ち目はありません。なので、時には太鼓を鳴らし攻撃
しかけたり、勝ち目がないとわかると慌てて攻撃を止めたり、負けそうになれば嘆き悲しんで、
かといえば楽観して歌ってみたりと、一喜一憂して落ち着かないのです。なので全くもって
真実というものがないのです。 運勢的には感情に走り、失敗する時です。焦らず冷静に。(凶)
☆四爻 − 爻辞:月幾望。馬匹亡。无咎。(つきぼうにちかし。うまのひつうしなう。とがなし。)
解説&運勢:位が正しく、九五の天子と比している、誠実な大臣です。 その誠実さは満月に近い十四夜の
月のようで、控えめで誠実そのものの美しい輝きがあります。 天子に仕える為、仲間とも縁を切り、
ひたすら任務を全うしますから咎はないのです。 運勢的には何事も八分で満足して無難です。
大事なものを失う予感が。(中吉)
☆五爻 − 爻辞:有孚攣如 。无咎。(まことありれんじょ。とがなし。)
解説&運勢:九二と共に中庸の徳があり、最も信頼の厚い天子です。信頼に満ち溢れ、周囲の人々との心が
固く結ばれているのです。九二も本来なら陽同士で咎があるところですが、中孚の時、互いに
厚い信頼がありますから何の咎もないのです。 運勢的には人と相談しながら行いましょう。
信頼、協調が鍵。(小吉)
☆上爻 − 爻辞:翰音登于天。貞凶。(かんいんてんにのぼる。ただしけれどもきょう。)
解説&運勢:中孚の卦の卦極にあり、かたちばかりの愛を見せかけ、中身が伴っていません。それはあたかも
鶏がバタバタ必死で天高く飛ぼうとしても飛ぶことができないようなもので、たとえ自分ではちゃんと
愛を込めていると思っていても、中身のない愛はすぐに見透かされ、凶なのです。 運勢的には軽挙
妄動して失敗する時です。分を弁えましょう。 また、見せ掛けと実体をよく見極めましょう。
分不相応なことは凶。謙虚さが鍵です。(大凶)
真心を表すこの卦は、上下が向かい合っている象から、私はすぐ、甘いキスを連想します。(笑)
キスは雄弁。 言葉はなくても相手の気持ちがストレートに伝わるものです☆
・・・手の上なら尊敬のキス。額の上なら友情のキス。頬の上なら厚情のキス。唇の上なら愛情のキス。瞼の上なら憧憬のキス。
掌の上なら懇願のキス。腕と首なら欲望のキス。・・・さてその他は・・・みな狂気の沙汰。 〜 これはグリル・バルツァーの有名な
格言ですが、やっぱりキスといって一番に連想するのは唇と唇を重ねる姿でしょうか。
マリア的にキスとは、愛する人に愛する
心を余りなく素直に伝えられる貴重な手段だと思っています。 「誓いのキス」というものがありますが、やっぱり唇を重ねキスを
交すということは、エロス的な感情だけでなく、魂が溶け合いお互いが信頼し合う証となるようにも思うのです。キスは嘘をつかないと
いいますものね。^^
・・・と・・・・易経からは随分話しが反れてしまいましたが、中孚の卦を見ると、ふと愛する人とハグ&キスを交したくなるような、
なんとも温かい気持ちになってしまう私です・・・。(笑)
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| 雷山小過(らいざんしょうか) |
〜 少しく過ぎる 〜
− 前向きな消極性 低姿勢で丁度良い時 −
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卦辞:小過。亨。利貞。可小事。不可大事。飛鳥遺之音。不宣上宣下。大吉。
(しょうかはとおる。ていによろし。しょうじにかなり。
だいじにかならず。ひちょうこれがいんをのこす。のぼるによろしからずくだるによろし。だいき
ち。
キーワード:過失、行き過ぎ、小事吉だが大事は不可、分限守って行動、食い違い、行きつ戻りつ、離別、背中合わせ など
解説&運勢:この卦は小さなものが過ぎるですとか、過ぎることが小であるという卦です。陽は大、陰は小とし、二陽四陰
の卦である故に、小が過ぎていると見るのです。また、二陽は中を得ていませんが、五爻の陰は尊位におり、
しかも二爻の陰と共に中を得ています。これは小なるものが分に過ぎていることになります。故に小過というのです。
過酷、過剰、過信、過分・・・ これらの言葉は全て、限度を越えた時に使う言葉ですよね。 小過の時はどうしても、
勢いづいて積極的に行き過ぎることがありますから、こういう時はあえて低姿勢に、謙遜の徳を守ることが大切
なのです。 たとえ自信があっても全てにおいて出すぎた真似はせず用心し、決して傲慢な態度に出ることなく
相手を敬いすぎるくらい謙虚に、約束事も早すぎるくらい守るくらいで丁度良い時なのです。 故に君子は、行いは
恭敬に過ぎ、お葬式にあっては悲しみが過ぎるくらい嘆き、日用のことは節倹に過ぎるくらいであって丁度良いと説いて
いるのです。低姿勢な態度は少し過ぎるくらいがかえって良い時なのです。 また、この卦は山の上に雷が鳴って
いる象ですが、全体を見ると飛鳥の象を成しています。二陽爻が胴で、上下の四陰が翼になります。 卦辞の中で
飛鳥遺之音。と、述べているのはこのことなのです。 外卦の震が音で、内卦が止まるで、鳥の羽音を残している
象になるのです。 鳥は空高く飛びますが、高く飛びすぎると、下にある餌からどんどん離れてしまうことになりますし、
高く飛び過ぎるということは安泰に欠き、逆行する危ういことですから不宣上宣下。と説いているのです。運勢的には
日常の小事は吉ですが、大事は成就し難い時です。永年目をかけてやった者が、足元から離れていくことがあると
します。常に低姿勢で、大事を行ったり積極的な行動は慎みましょう。分不相応な望みを持つ時。色情問題が
起こり易い時でもあります。
☆初爻 − 爻辞:飛鳥以凶。(ひちょうもってきょう。)
解説&運勢:小過の一番下にあって、陰柔不才であるこの爻は、九四と応じている為、己の力不足を省みず、
自分の分を越えて背伸びし、欲張って妄進し、上位につこうとするので凶なのです。運勢的には
私利私欲の為に軽挙妄動して失敗する時です。一攫千金などを考えるのはNG。(大凶)
☆二爻 − 爻辞:過其祖。遇其妣。不及其君。遇其臣。无咎。(そのそをすぎてそのひにあう。そのきみにおよばず。
そのしんにあう。とがなし。)
解説&運勢:中庸の徳を持ち、位の正しいこの爻は、応爻の六五とは陰同士ですが同徳相応じるのです。
また、九三とは陰陽比しています。 六ニは六五の祖母を慕い、九三の父親や、九四の祖父を
スルーして会いに行ってしまうのです。これは過ぎた行為とも言えますが、日常的な家庭内の
ことですから小事なので吉なのです。しかし、公の大事となると、直接六五の天子に会う事はNGで、
九三の上司を通さなければなりません。 おばあちゃん子だった私には、なんだかとても
親しみのある爻です。 運勢的には小事は叶います。控えめに進みましょう。(小吉)
☆三爻 − 爻辞:弗過防之。從或壯之。凶。(すぎずしてこれをふせぐ。したがわばあるいはこれにそこなわる。きょう。)
解説&運勢:下卦の極にあり、剛健過ぎて万事やり過ぎ行き過ぎの傾向があり、中庸の徳がありません。なので
知らずに周囲から憎しみを受けやすいのです。今は陽よりも陰の勢力が強すぎ、完全に陰衆に包囲
されている危険な状況です。なので、たとえ力は強くても賢く空気を読んで陰の挑発には乗らず、
控えめ過ぎるくらいな低姿勢で防衛することが無難なのです。また、上六とは陰陽応じているものの、
上六は最も陰の勢いの強い危険極まりないところですから(故に害応となります)そんな上六に
うっかり関わってしまうと殺されることになりかねません。(三、四、五爻の兌の毀折) 運勢的には
災難を受けやすい時です。慎重に。悪い誘惑には乗らず、身を守りましょう。出る杭が打たれる時。(凶)
☆四爻 − 爻辞:无咎。弗過遇之。往歯K戒。勿用。永貞。(とがなし。すぎずしてこれにあう。ゆけばあやうし
かならずいましめよ。もちうるなかれえいてい。)
解説&運勢:九三同様小過における二陽爻のひとつなのですが、九三とは違って、位は正しくありませんが、
陽を以って陰の位にいるの控えめさがかえって良い時で、謙遜の徳を持っているので咎がない
のです。小人に包囲されている小過の時、あえて陽剛の力を隠し、陰衆の勢いに過ぎることなく
低姿勢で、応じている初六と会うのが無難で宜しいのです。しかし、陽剛さを出し、積極的に進む
ならば、陰の勢いを越えてしまいますから九三同様、出る杭は打たれるという危険な目に遭って
しまいます。しかし、小人たちの勢いは永遠に続くわけではありませんから、今だけ、過ぎるくらいの
用心、警戒をすることで、やがて艱難から抜け出すことができるのです。運勢的には傷害を被る
おそれがありそう。むやみに人を信じてはならない時です。(小凶)
☆五爻 − 爻辞:密雲不雨。自我西郊。公弋取彼在穴。(みつうんあめふらず。わがせいこうよりす。
こうよくしてかのあなにあるをとる。)
解説&運勢:中庸の徳は持っているものの、位は正しくなく、強さ勢いに乏しい軟弱な天子であり、折角の中庸の
徳が天下万民に行き渡ることができずにいます。 それはあたかも西の郊外の方から密雲が湧いて
きたのに、なかなか雨が降らずにグズグズしている何ともイライラ鬱陶しい様子のようです。そのような
グズグズした政治を速やかに打開するため、弓を用いて穴の中にいる獲難い獲物を取るよう、
九三、九四の賢人を呼び、後押し、協力してもらうのです。運勢的には隠れた人材を探しましょう。
そしてその人達に協力を求める時です。(中吉)
☆上爻 − 爻辞:弗遇過之。飛鳥離之。凶。是謂災[生/目]」。(あわずしてこれにすぐ。ひちょうこれにかかる。
きょう。これをさいせいという。)
解説&運勢:小過の卦極にいる上六は、陰の過ぎること甚だしく、九三の助けも警戒し過ぎる故求めることなく、
己の力を過信し分を過ぎて驕り高ぶり、上り過ぎてしまったのです。それはあたかも飛鳥が網に
かかったようなもので凶なのです。(爻を変じると離の網になります) このような状況に遇うという
ことは天災、人災ともいえる大変な事態なのです。 運勢的には調子に乗って、行き過ぎ、やり過ぎで
失敗する時です。(大凶)
女性として私がこの卦を見た時、連想する言葉は「慎ましさ」です。 女性の慎ましやかな仕草や態度こそ、着ている
服や持ち物以上にその女性の価値を上げるものだと思っています。 物を置く時や、ドアの閉め方一つにしても、大きな音を
たてるのと、丁寧に音を立てないのとでは、かなりその女性の印象が変わります。お客様を家の外までお見送りする時でも、
相手の姿が見えなくなるまで手を振っている女性と、すぐに家の中に入ってしまう女性とでは印象が変わります。
見知らぬ女性でも、目が合った時に微笑に近い優しい印象の女性と、冷たい眼差しの女性とでは、装い以前の問題で、
大きな差が生じるでしょう。 優しさや慎ましさは誰もが心の中ではそうあった方が良いと思っている筈です。心に潜む私利私欲、
傲慢さに打ち勝ち、自分が取る振る舞いによって周囲にどのような影響を及ぼすかを冷静に配慮しつつ、先ずは周りに
思いが及ぶ余裕・・・ 「私は」「私が」と、自分を積極的に売り込む今の時代だからこそ、大人の女性なら特に、積極的に主張する
ことよりも慎ましさというエレガンス、美徳をあらためて意識したいですね。
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| 水火既済(すいかきせい) |
〜既に済う、既に成る 〜
− 完成は崩壊の始まり 功に驕らず現状維持に努める時 −
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卦辞:既済。亨小。利貞。初吉。終乱。(きせいは、とおることしょうなり。ていによろし。はじめはきつにして、おわりは
みだる。)
キーワード:過不足なし、終局、窮す、倦怠、油断、安心、完備、そつがない、始め良く後で乱れる、物事裏表あり など
解説&運勢:既済とは、既に済む、事が全て調う、完成、成就することを意味する卦です。この卦は各爻がそれぞれ位に当っており、
また相応じています。各爻共に、比爻の関係で、陰陽になっています。これは六十四卦の中でこの卦に限られた
最も理想的な卦のカタチなのです。 試練を乗り越えた努力の賜物、一致協力し、平和を守っている姿です。
既に大いなるところのものは、亭通を得ていますから、これ以上発展進歩の余地はなく、後はただ小なるものが
亭通を得られるのみです。完成したものに手を加える必要はありませんものね。今のやり方ではここまでが
精一杯なのです。 もしも何か大きなことをやりたいと願うなら、この、既に調った状態からいったん脱し、初心に返って
新たな志を立てスタートしなければいけません。この状態を変えようとしても、無理なのです。なので、現状維持こそが
大切な時。 そこで君子は、この済った時にあたっては、患害の発生することを配慮して、予めこれを防ぐ
手だてを心がけるべきだとするのです。 運勢的には既に済うということですから、これで精一杯な筈。これ以上は
求めず、この状態を長く維持できるように努めましょう。運勢的には好調ですが油断していると次第に衰退します。
☆初爻 − 爻辞:曳其輪。濡其尾。无咎。(そのりんをひく。そのりんをうるおす。とがなし。)
解説&運勢:既に済った現状を守らなければなりませんので、進むことによって乱れることを察し、
進みたい気持ちを抑えて現状を維持します。それはあたかも進もうとする車の輪を
後ろから引いて止めるようなものです。また、川を渡ろうとして狐が尻尾を濡らしてしまったように
川を渡ることを諦めるようでもあります。なので咎はないのです。(狐は川を渡る際、その
尻尾を水上に出しますが、濡れると体が重くなって渡れなくなるのです) 運勢的には
進みたくても進まずに、少し休んで控えていましょう。(中吉)
☆二爻 − 爻辞:婦喪其弗。勿遂。七日得。(ふそのふつをうしなう。おうことなかれ。ひちじつにしてう。)
解説&運勢:柔順中正の賢臣です。天下平安な既済のこの時、応じている九五の所へ行き、その才徳を
発揮したいところですが、世の中は平和すぎて問題も起きていませんから才徳を発揮する
チャンスもなく、それはまるで、九五の夫に会うため、車に乗って出かけようとした妻が故障して
動かず会いに行くことができないようなものです。しかし、躍起になって修理しようとせず、
放置しておけば1週間もすると再び動き出すのです。(折角車があっても暫くは役に立たない
ということなのです。)ですからこの賢臣も、今はなかなか九五の天子に会えませんが、
時が来れば願いは叶うというのです。なので短気を起こして妄進するのはNGなのです。
運勢的にはゆったりとした穏やかな気持ちで待機しましょう。放任主義が一番の時です。(中吉)
☆三爻 − 爻辞:高宗伐鬼方。三年克之。小人勿用。(こうそうきほうをうつ。さんねんにしてこれにかつ。
しょうじんはもちうるなかれ。)
解説&運勢:既済は全て位が正しく、相応じているのですが、この三爻は、下卦の卦極にあり、とかく
行き過ぎの傾向があります。過剰に動きたくなり、既に国内を平和にしたものの、もっと
大きな改革を試みようとし、高宗が(殷の天子)、さらに北方を征服しようと軍を進めたの
ですが、そう簡単には達成できず、三年もの年月を費やしてようやく勝ち得たのです。
このように、明君といわれた高宗さえも、国内安定後、もっと領土を拡大しようと試みれば
三年もの年月を費やさなければならないのです。まして力不足な小人では、既に済んで
安定した後で、更に大事を成すなどということは、危険極まりないことなのです。
運勢的には欲張って更なる冒険をしたくなる時です。要注意。動けば危険を伴います。(小凶)
☆四爻 − 爻辞:繻有衣じょ。終日戒。(じゅいじょあり。しゅうじついましむ。)
解説&運勢:既済も半ばを過ぎ、そろそろ衰退の兆しが見えてきています。例えば川を渡ろうとする舟の底から
水が漏れ、慌ててあり合わせの破れた布で防ぐことをしなければならない状況なのです。なので
安心せず、終日現状維持の為警戒しなければなりません。 運勢的には衰運の兆しが見えてくる
時です。慎重に、注意をはらいましょう。(小凶)
☆五爻 − 爻辞:東隣殺牛。不如西隣之やく祭実受其福。(とうりんのうしをころすは。せいりんのやくさいして
じつにそのふくをうくるにしかず。)
解説&運勢:既済の安定も半ばを過ぎ、衰退の兆しが現れ始めます。天下平定の事業は完成し、最高の地位に
つきましたから、もう、これ以上の進歩はありません。六ニがやっとのことで、世に出る時を得たという
ことすら、気づいていません。例えば、東隣の家で牛を殺し、誠の伴わない形ばかり派手な祭りを
するのは、西隣の家の、心を込めた簡素なお祭りには及びません。西隣の家にこそ、本当の福が
やってくるのです。これは、最高の地位を得て、驕り高ぶる東の殷の紂王と、小さい国ながらも民心を
得つつある西の周の文王とに相当します。 運勢的には見栄を捨てて堅実に努力しましょう。
外側よりも内容を充実させる時です。高位に甘んじ、驕り高ぶらず、常に初心に立ち返って無難。(中吉)
☆上爻 − 爻辞:濡其首。氏B(そのこうべをうるおす。あやうし。)
解説&運勢:卦極にあるこの爻は、まさに、はじめ吉にして終わり乱るという卦辞の如く、平和ボケして驕り高ぶった
結果、遂に崩壊を迎えたのです。 それはまるで、危険を知らず、ただ前へ前へ進みすぎ、川の
深みにはまって首まで濡らしてしまうほどの危険にさらされてしまうようなものです。深みに入り、
首まで濡れてしまうということ=溺れている姿ですし、そのまま長くいられる筈もありません。
大変危うい状況なのです。 運勢的には身動きが取れずに窮する時です。私利私欲は捨て、
速やかに退きましょう。(凶)
既は、「すでに」という字であり、「つくす」という字でもあります。済は川を渡る事から転じて成就、完成を意味しますから、
既済は既に完成し、事が終わって安定している象なのです。そしてそれはやがて無限の未来、無限の創造が前提となってきます。
ですから、この卦は有終の道を説いているのです。
私はこの卦を、「現状維持の卦」と呼んでいます。この卦が出る時、ほとんどの場合、現状に満たされていたり、
成就して安心していたりするもので、こういう時に気をつけなければならないのが現状に甘んじ、だらしなくなってしまうことです。
恋愛、結婚でもそうですね。 成就し、馴れ合いになってしまうと、お互いが空気のような当り前の存在となり、今二人で居る
事の幸せが見え難くなってしまいます。こうした馴れ合い、倦怠期を上手く乗り越えるには、関係に決してあぐらをかかぬよう、
初めて出会った頃のことを忘れず、初心に立ち返り、常に新鮮な風を呼び込めるよう、関係の調整、点検を怠らないことですね。
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| 火水未済(かすいびせい) |
〜 未だ済わず、未完成 〜
− 未完の大器 終りなき変化 無限の歩み −
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卦辞:未済。亨。子狐ほとんど済。濡其尾。无攸利。(びせいは、とおる。しょうこうほとんどわたらんとして、そのおを
うるおす。よろしきところなし。)
キーワード:未完成、未熟、不体裁、未解決、女性上位、男性窮する、中途半端、背き離れる、進行半ば、背伸びして失敗 など
解説&運勢:未済の卦は、既済と対照的な卦で、未だ済わず、未完成という卦です。 六十四卦最後の卦が未完成というのは
ちょっと不思議にも思いますが、完成で終わっては易(変化)ではないのですよね。 完成も流転の一相、物は
窮まるべからざるなりということで、完成の卦である既済の後にこの未完成の卦である未済の卦が来るのです。
世の中完全、完璧というものはまずありません。たとえ完成したとしても、それはほんの一瞬のことで、そこから
新しい展開が始まるのが天地の仕組みであるといえるのでしょう。 卦辞に、未済。亨。とありますが、それは
未完成の未来への明るい可能性、希望を示しているのです。 しかし、その反面、未だ力は済っていませんから、
無理に進めば挫折、失敗を来たすであろうとも注意しています。努力して頑張って、経験を積み、力が備わってこそ
成就するということを暗示しているのです。(伏卦、既済が未来の亨通の象になります) 卦辞にもありますが、
この卦は子狐が川を渡ろうとする姿としてたとえられていますが、子狐はあと一歩で渡りきれるというところで、
残念ながら尻尾を濡らしてしまいます。狐は尻尾を濡らしてしまうとうまく走れませんから、向こう岸まであと一歩
という惜しいところで立ち往生してしまうのです。(狐は川を渡る際、その尻尾を水上に出しますが、濡れると体が
重くなって渡れなくなるのです) しかし、残すところあと一歩ということは、渡りきる力が備わる迄あともうちょっと。
諦めず希望を持って何度も何度も挑戦することにこそ進歩があるのですね。
運勢的には水と火が交わらない象ですから、まだ用をなさないですとか、不和、背き離れるとします。はじめは
困難でも、次第に良くなる傾向があります。焦ったり怠けたりせず、後日を期して堅実に、根気良く努力する時です。
☆初爻 − 爻辞:濡其尾。吝。(そのおをうるおす。りん。)
解説&運勢:その尾を濡らすとは、卦の説明でもお話しましたように、力も経験も不足している子狐が
川を渡ろうとして力が尽き、その尾を濡らして途中で挫折するようなものということを表して
います。即ち自分の力量の限界を知らないということです。 なので今はまだ、進むべき
時ではありませんが、九四と応じているため、坎険に陥っても尚、力を弁えず九四を頼り
すす門とするのです。 それは恥ずべき姿です。 運勢的には
調子付いて失敗する時です。
高望みはしないようにしましょう。(小凶)
☆二爻 − 爻辞:曳其輪。貞吉。(そのりんをひく。ていきち。)
解説&運勢:中庸の徳を持ち、進むべき時ではないということを理解している爻ですから、無事を得るのです。
それは車の輪を後ろから引いて、進まないよう引き止めるようなものであって、このように
貞正を守ることは吉を得ることになるのです。 運勢的には動揺せず、現状を守って吉の時です。
まだその時ではありません。チャンスを待ちましょう。(吉)
☆三爻 − 爻辞:未済征凶。利渉大川。(びせいゆけばきょう。たいせんをわたるによろし。)
解説&運勢:坎険の極のところですから、とかく行き過ぎるところがあり、前進したくて仕方のない
危うい爻です。 上九と応じていますから、上九の指導に従い、焦らず慎重に準備した後、
大川を渡るという姿勢ならば利しきを得ます。運勢的には進めば失敗します。今はまだ
準備期間です。(凶)
☆四爻 − 爻辞:貞吉。悔亡。震用伐鬼方。三年有賞于大国。(ていきち。くいほろぶ。うごいてもってきほうをうつ。
さんねんにしてたいこくにしょうするあり。)
解説&運勢:未済も半ばを過ぎ、少しずつ済ってきたところです。陽爻を以て陰の位にいますから、位が
正しくないので悔いはありますが、自分の置かれている立場を弁え、貞正を守り、長い時間
その努力を惜しまぬなら悔いも亡びて吉なのです。そのような姿勢を守りつつ、威武をふるい
(二、三、四で震)北方の蛮族を討伐し、三年がかりでやっと打ち勝つことができ、大国から
大いに賞せられることになるとするのです。運勢的には蓄え養った実力を発揮する時です。
時間はかかっても苦労した分、実績も上がります。(吉)
☆五爻 − 爻辞:貞吉。无悔。君子之光。有孚吉。(ていきち。くいなし。くんしのひかりまことありきち。)
解説&運勢:中庸の徳と、離明の徳がある聡明な明君です。正しい道をしっかりと守っていますから、
その尊ぶべき徳は四方に輝き、誠信により国家安定@吉を得ることができるのです。
運勢的には盛運の時です。誠実に努めましょう。万事円満に運びます。(大吉)
☆上爻 − 爻辞:有孚于飲酒。无咎。濡其首。有孚失是。(いんしゅにまことあり。とがなし。そのこうべをうるおせば。
まことあるもぜをうしなう。)
解説&運勢:既に北方を討伐し、国も安定し、未済から既済の状態に至ったところです。今は心穏やかに
現状を維持しながらお酒を飲み、悠然と養って安らぐ時で、そうすれば咎はないのです。
しかし、飲みすぎてヘベレケにに酔っ払い、子狐が首を濡らすようにお酒に溺れるならば
たとえ心に誠があっても今日までの努力が水の泡となってしまうのです。 運勢的には
気が緩んで失敗しそう。節制を心がけて。(小凶)
・・・さて・・・ コツコツ地道に手直ししてきました六十四卦も、とうとう最後の卦、未済の卦の手直しが終了しつつあります。^^
今年の5月頃から勉強の合間に復習も兼ねて手直しをスタートしまして、10月11日の本日、終わろうとしていますが、
未済の卦の如く、これで完成、終りとは思っていません。 6年前、この部屋を作成しました時も、六十四卦の部屋は
未完成@歯抜けで未熟なページと思っていましたが、その気持ちは今でも一緒ですし、これで完成、満足というカタチには、
このページが存在する限り、いつまで経ってもならないことと思います。新たな学び、発見がある度、補足修正の手は止まらない
と思いますし、今後は解説の他、卦毎の占例や、卦や爻の運勢も、例えば恋愛、仕事、健康、金運などに細かく分けて書き
足して行けたならとも思っています。 (六十四卦の部屋同様、易の部屋も今後、より詳しく更新していきたいと思います)
未済は無終。無限に循環して行くことを表します。
未完成な状態は、坎@失敗や挫折、悩みの可能性もありますが、完成された状態よりも上昇性があり、離明@明るい希望が
持てますよね。 なのであえて、六十四卦の部屋をはじめ、HPのどの部屋も完成させたくないですし、させられないものと
思っています。
・・・未済の卦の如く、幾つになっても、これで終了ということなく、常に何かに向かって挑戦し、努力する姿勢でいたいものですね。^^
2007年10月11日
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