第二十話 〜 男の子


              
北海道に住んでいた頃の話しです。札幌に住む友達に会いに、旭川駅からJRの
               ホワイトアロー号に乗りました。 季節は真冬。 車内は空いていて、私は四人がけ
               の席に一人座り、ぼんやりと窓の外の美しい雪景色を眺めていました。
               通路を挟んで隣の座席に、いつのまにか小学2〜3年生くらいの男の子が一人で
               ぽつんと座っていました。目が合うとニコッと微笑み、「お姉ちゃんも札幌に行くの?」
               と、聞いてきました。 「そうよ。ボクも?」 「うん。」 そのうち車内は人でいっぱいに
               なってきました。私は 「ねえ、ボク。こっちに来ない? 一人なんでしょう?」 と、
               男の子に声をかけました。 「いいの?」 男の子は喜んで私の前に座りました。
               これも何かの縁。そう思ったのです。 私はバッグの中からプリッツやジュースを
               出すと、男の子に差出しました。「いいよ、お腹いっぱいだから」 男の子は遠慮
               します。「それより何かして遊ぼうよ」 男の子はワクワクするように言った。 
               しりとりをしたり、なぞなぞを出し合ったり、楽しいひとときを過ごしました。たまに
               私達を横切る人々が、何か不信そうな眼差しをこちらに向けていましたが、特に
               気にせず男の子と遊んでいました。
               暫くしてトンネルに入りました。車窓が鏡のようになり、車内の情景が映し出されます。
               ところが、ふと見ると、向かいの窓側の席に座っている男の子の姿が、窓に映って
               いないではありませんか。 「・・・うそ・・・・」 心の中でそう呟きました。 男の子は
               「お姉ちゃん、どうしたの?」 と、不思議そうに私を覗きこむ。 
               やがてトンネルを抜け、車内は晴れた雪景色の明るさを取り戻しました。
               私は何もなかったように、男の子としりとりの続きをしました。 男の子とは、札幌の
               駅で別れました。 「お姉ちゃん、とっても楽しかったよ。また会おうね!」 男の子は
               無邪気な笑顔を残すと改札までの階段を駆け下りて行きました。 男の子の体が
               冷たく澄んだ空気と共にどんどん透けて、擦違う人ごみにスッと消えました。 















































 



                         第十九話 〜 川


             
 アメリカに住んでいた頃の話です。 私はショッピングが大好きで、
               暇さえあれば、あちこちのショッピングモールへお買い物に出掛けていました。
               数あるショッピングモールの中、私にとって、一番のお気に入りの高級
               ショッピングモールへ行くには、避けて通れない、嫌な道があったのです。 
               ある大きな橋を渡らなければなりませんでした。 橋を越えると道の両サイド
               は深い森になります。 ・・・橋を渡り、森に差しかかる所で、私はいつも奇妙な
               光景を目の当たりにするのです。 無数の霊が川や森から涌き出るように
               現れ、私の運転する車に吸い寄せられるように一気に近づいてくるのです。
               恐ろしさのあまり、はじめてその光景を見た日は、すぐに道を引き返し、
               家に戻りました。 ・・・一体あれは何だったんだろう? 気味が悪くて
               アメリカ人の友達にそれとなく川での出来事を話しました。
               友達は私の話にとても驚き、ショックを隠しきれない様子で知っていることを
               打ち明けてくれました。「私も良く知らないんだけど、あの川や森は、昔、そうね、
               1970年頃に、シリアルキラーによって、沢山の死体が埋められた場所なのよ。
               最近噂もあまり聞かなくなったけど、あの辺、出るらしいのよ・・・」 と。
               恐ろしい事情を知った私は身震いし、もう二度と高級ショッピングモールへは
               行けないんだとがっかりしていました。
               ・・・・しかし・・・高級ショッピングモールの魅力は霊のリスクを超えました。
               ある、天気の良い日、バーゲンと聞いて、私は思わず車を走らせてしまったのです。
               レーザークリスタルのペンダントをお守りとして首にぶら下げて。
               ・・・橋の上に到着しました。 私は平常心で橋を渡り、森に差しかかりました。
               その時は、不思議と何も感じず、奇妙な光景も見ませんでした。 私はホッとし、
               これはレーザークリスタルのお蔭かしら? と、鼻歌混じりで森を走りました。
               ふと、後ろが気になりバックミラーに目をやると・・・ 
               なんと!後ろの座席に知らない人が無言で座っているではありませんか?!

                                 

               ど・・どうしよう・・・ 困った・・・・背筋が凍りつき、後悔の嵐が私の心を騒がせます。 
               ああ、怖いよぉ・・・・・ と、・・勇気を出して、後ろを振り向くと、後ろの座席には誰も
               いません。 でも、確かにバックミラーにははっきりとアメリカ人男性が映って
               いたのですよ。
                             
               タクシーが霊を乗せる話は良く耳にしますが、まさかこの私が自分の車に霊を
               乗せてしまうだなんて思いませんでした。 アメリカ人の友達は、その話しに
               とても心配し、悪霊祓いで有名な牧師さんの所へわざわざ連れて行ってくれました。
               事情を説明し、車ごと、祓って頂きました。(ちなみに悪霊祓い料は300ドルでした。
               高いのか安いのか・・)・・それにしても・・・アメリカに行ってまで霊を祓って頂く
               ことになるだなんて・・・ 本当に貴重な経験になりました。



















































 



                       第十八話 〜 パソコン


             
私は夜更かしなもので、深夜家族が寝静まった後でも、お酒を片手に一人で
              カタカタとHPを更新したり、ネットサーフィンしたりと楽しんでいます。 しかし、
              たまに厄介な事が起きてしまうのです・・・・。

              深夜1時をまわる頃から、必ずパソコンの調子が悪くなるのです。 せっかくHP
              を更新しようとしても、特にこの不思議体験の部屋の作業をしている時、突然
              画面がフリーズしたり、字が書けなくなったり。ひどい時は、画面が突然消えて
              しまい、真っ黒になってしまう。 部屋の明かりを薄暗くしているのもあって、
              その急に消えた黒い画面は不気味に映ります。・・・今にもそこには何か、
              恐ろしい映像が映り出しそうな・・・・。 何度かそんな現象が続くと、そろそろ
              今夜も潮時かなと、電源を落とし、速やかにベッドにもぐりこみます。 

              ・・・・・ これは昨夜起きたことです。 いつものように、何度も画面の調子が悪く
              なり、今夜もそろそろダメかなと思い、電源を落とすと、私は洗面所に歯を磨きに
              行きました。 その後、部屋に戻り、散らばった雑誌や小物を片付けながら、ふと
              パソコンに目をやると、なんと落としたはずのパソコンの電源が入っているのです。 
              あれ?おかしいな。切ったはずなのに・・・? そう思ってもう一度、ウィンドウズ
              終了ボタンを押しました。 すると・・・・ 突然押していないはずのワードパットが
              開き出し、閉じようとしてもなかなか閉じません。 どうしたんだろう? そう思って
              いると・・・・・・・
              ・・・キーに触れていないのに、ワードパットには勝手にこんな文字が・・・

              
ああああああああああああああああああああああああああああ
             ああああああああああああああああああああああああああああ


              私は気味が悪くなって、すぐに元のスイッチを切ってしまいました。 
              深夜だし、もしかしたらぼんやりと一瞬の睡魔に襲われ、誤って字を押し間違え
              たのかしら? それともお酒を飲み過ぎたのかしら?  ・・・・それとも・・・・・。

              ふと時計を見ると、ちょうど2時をまわったところだったのです。























































 



                        第十七話 〜 鏡・・・その2   


             
第一話でもお話しましたが、私は鏡に向かうといつも奇妙な感覚に襲われます。

              貴方は、暗闇の中、鏡の前に立った事がありますか? ・・・薄暗い場所で鏡を覗き
              こめば、そこでは貴方の想像を絶する世界を見ることになるでしょう。しかし、残念な
              ことにそれが見えるのはほんの一瞬のことですが・・・・。
              試しに覗いてごらんなさい。 夜中の2時頃、明かりのない部屋で、または洗面所の
              灯りのスイッチを消して鏡の前に立ってみると・・・・・ 向こうの様子が少しずつわかる
              ようになってきます。 ・・・青ざめたもう一人の貴方が薄笑いを浮かべ、貴方をじっと
              見ています。そしてほんの一瞬・・・背後に無数の霊の存在が鏡ごしに見えるのです。
              貴方の首にまとわりつく霊や、ひどい形相の霊、浮遊する霊、抱き着いてくる霊・・・
              ・・・その時、注意しなければならない事は、どんなことがあっても、決して後ろを
              振り向かない事です。背後に何が映ろうとも、動揺せず、速やかに灯りのスイッチを
              つけるか、振り向かずその場を移動しましょう・・・・。
                                                             
              ・・・・何故、後ろを振り向いてはいけないのかですって・・・? それは・・・・


                                 
















































 



                           第十六話 〜 マーガレットちゃん  


              第四話の「人形」でもコメントしましたが、人形には霊魂が宿りやすいのです・・・。

              ・・・これは、私がまだ幼かった頃の話です。私は祖母から四歳の誕生プレゼントに
              当時流行った『マーガレットちゃん』という人形を頂きました。 お友達は殆ど皆持って
              いましたので、とっても嬉しかった記憶が残っています。 私は昼も夜もマーガレット
              ちゃんと一緒でした。 マーガレットちゃんは、お腹のボタンを押すと言葉を話し、歌い
              ます。口も動きました。 横にすると目を瞑り、立てるとパッチリとした目を開けます。
              私はそんなマーガレットちゃんが、いつの日か一番の親友となっていたのです。
              ・・・ある日、マーガレットちゃんが、横にしても目を瞑らなくなりました。祖母は
              きっと壊れたのだと思って、特に気にも留めてなかったらしいのですが、深夜、
              私が眠っている様子を何気なく見ると、なんと目を瞑らなくなったマーガレットちゃんの
              目が閉じていたのです。それから注意深く、私が眠っている時にマーガレットちゃんを
              チェックしてみると、驚く事に、マーガレットちゃんは、私が眠っている時は、お昼寝の
              時でも私の傍らで目を瞑っていたのです。祖母は気味が悪くなり、ある夜、私が眠る
              横で目を閉じるマーガレットちゃんを抱き起こし、じっと顔を眺めてみたそうです。 
              すると、それまで伏せていたはずのマーガレットちゃんの目は突然パッと見開き、
              急に可愛らしい顔が、ほんの一瞬だったらしいのですが、まるで鬼のように変化した
              ように見えたのです。 怖くなった祖母は誤ってお腹のボタンを押してしまうと、
              マーガレットちゃんの口がゆっくりと動き、

                  おこさないでね・・・・ おこさないでね・・・・ 
 
              確かに二回、そう聞こえたのです。 祖母は真っ青になり、マーガレットちゃんを
              手放しました。 マーガレットちゃんが発する言葉には、「おこさないでね」などという
              言葉は入っていません。 祖母は明くる朝、慌てて私とマーガレットちゃんを、信頼
              の置けるお寺へ連れていき、そこの住職さんに事情を説明しました。 住職さんは
              「きっと、人形に霊が乗移ったんですね。 ・・・お宅の御孫さんはまだ幼いし、
              霊感も強いのでしょう。 寂しい霊との波動が合ってしまったのです。 こちらで供養
              しておきますからご安心を。」 とおっしゃって、祖母を安心させたそうです。
              それ以来、私は祖母や身内から、人形を買ってもらったことが一度もありません。
              そして親になった今、私は子供達に人形をプレゼントすることは、一度もありません。

              ・・・貴方の部屋に置いてある人形には、何か感じませんか?人形は、貴方をじっと
              見つめているはずですよ・・・・・。 じっと・・・・。















































 



                           第十五話 〜 すがる手 


              一人で部屋にこもっていると、時として、側に誰か・・・人のいる気配を強烈に感じる
              ことはありませんか?慌ててハッとして顔をあげ、周囲を見回すのですが、勿論誰も
              いるわけがありません・・・。 何故ならそう、それはきっと ・・・・

              ある真夜中、私は暑さと寝苦しさ、息苦しさの為、ふと目が覚めました。時計を見ると
              夜中の2時を回ったところ。 冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取出し、一気飲み
              すると、すぐにまた、床につきました。 ・・・しかし、なかなか眠れません。 そのうち
              暑かったはずの身体に、急に悪寒のような寒気を感じるようになりました。嫌な予感がし、
              なんとか眠りにつこうとするのですが、そう思えば思うほど、恐怖感ばかりがつのり、
              思い出さなくてもいいような怖い話しや体験が次々と頭の中で巡り、 ああ、もうだめだ
              眠れないわ・・・ そう思ってベッドの照明をつけようと思ったまさにその時・・・・金縛りに
              あってしまったのです。 「・・遅かったか・・」 私は諦めの境地で、これから起ころうと
              している最悪のパターンを想定してみました。「声が聞こえるのか?何かが見えるのか?
              何かされるのか・・・」あれこれ考えているうちに、何者かがベッドの下から現れ、私の
              両足首を強く握ったのです!その握ったひんやりと冷たい両手は、すがるようにどんどん
              這い上がって来てゆっくりと私の膝、太もも、腰へとのしかかってくるのです。私はすぐに
              お経を唱え、できれば相手の顔が私の顔の前に見える前に退散して頂かなければと
              強く念じました。 ゆっくり・・ゆっくり・・・ すがる両手は少しずつ私のお腹の上、そして
              胸の上へと這って来ます。・・・・ああ、ヤバイ・・・首まで来たらきっと絞められる・・・・ 
              ・・お願い、誰か助けて!・・・黒い頭が見えかけてきたその瞬間、ギャ〜〜〜という低い
              叫び声で、そののしかかっていた霊らしき者は、突然退散してしまったのです。 ・・・・ 
              ・・・・ いったい何が起きたのだろう?  退散したあと、フッと身体も軽くなり、苦しい
              金縛りも解けました。  ・・・・・・ 私はその日、たまたま数年前に亡くなった親友の
              ネックレースを身につけたまま床についたことに気づきました。・・何故、すぐそのことに
              気づいたのかというと・・・ 悪霊らしき者が退散した後、 微かに亡き親友の懐かしい
              ムスクの香りが漂った気がしたのです。 そう、きっと彼女が守ってくれた・・そう思うと
              嬉しくなり、その夜は一晩中、彼女に語りかけました。 彼女が好きだったウィスキー
              を開けて、彼女の写真の前にグラスを置き、乾杯しました。 

              ・・・・・ 貴方にもきっと・・ 貴方を心から守ってくださっている何方かの存在が、背後に
              あるはずなのですよ。 心当たりのある方は、時折その方を思い出し、語りかけてあげて
              下さいね。 きっと喜んで下さると思いますから・・・・・。























































 



                            第十四話 〜 視線   


               貴方はお独りで風呂に入っている時、またはシャワーを浴びている時、背後に何か
               気になる視線を感じた事はありませんか? 背筋に悪寒が走るような、
               何とも言えない不気味な気配を・・・・そう、あの、誰もが味わったことのあるであろう
               ゾクっとするような一瞬・・・それはきっと、貴方の姿を、霊が後ろから眺めているの
               かもしれませんよ・・・・・。

               水場は霊を呼びやすく、家の中でもキッチンやお風呂場などは、トイレに続き、
               霊が集まる恰好の場となるのです。・・・長風呂が大好きな私は、ある夜、子供達が
               寝静まった後、独り、入浴タイムを楽しんでいました。 彼はアメリカへ長期出張中。 
               私は何度もお湯に浸かったり、出てはオイルマッサージをしたりと、ラジオを聴き
               ながら鼻歌混じりにリラックスしていました。 ・・・ふと・・・ すりガラス状の扉に、
               何か人影を感じました。 子供が起きて来たのかしらと、扉を開けて見ても、外には
               誰もいません。 ・・・気のせいかな?そう思い、気をとりなおしてシャンプーを始め
               ました・・・・。 しかし・・・確かに背後に何か視線を感じます。 ・・・嫌だなあ・・・ 
               そう思った時、ラジオの電波がいきな途切れ、ザーっという音に変ってしまいました。
               シャンプー中の私はラジオのスイッチをオフする為、手探りでラジオを探すと・・・ 
               なんとシャンプーの棚の横に置いてあったはずのラジオが、私の背後に・・・。
               私はゾッとして、コンディショナーも忘れ、すぐに髪の毛をタオルで巻き、背後の扉を
               チラッと見ると・・
               一瞬でしたが、そこにはなんとすりガラス越しに手の影が!
                                     
               私は悲鳴をあげすぐに扉を開けてみると、外にはまた誰もいませんでした。子供達の
               様子を見に子供部屋へ行ってみましたが、スヤスヤ眠っています。 
               ・・・確かに感じた冷たい視線・・・・ 人影・・・ そして手のひらの影・・・・ 
               それはきっと、たまたま水場を通りかかった浮遊霊かもしれませんし、地縛霊の
               悪戯かもしれません。私はすぐにお清め用のお塩とお水をお風呂場の扉の前へ置き、
               手を合わせました。 

               貴方はいつも、お独りでお風呂に入りますか? シャンプーをしている時など、背後に
               気になる冷たい視線を感じたなら・・・・ それはきっと・・・・・・






















































 



                             第十三話 〜 地縛霊の恋  


              霊と恋に落ちる・・・・。ありえない事ではないのです。それは夢の中での出会いだったり
             または実際に現れたり・・・。 そんなバカなこととお思いでしょうが、私は何人かの方から
             相談を受けたこともありますし、私もたった一度だけですが、不思議な体験をしたことが
             あるのです。

             その人は、いつの頃からか、時々夢に現れるようになりました。 断片的にですが、
             目覚めるとはっきりと彼のことを覚えています。 私の部屋にはロッキングチェアーが
             置いてありました。 叔父から譲り受けた古いものでしたが、読書をしたり寛ぐにはは
             とてもお気に入りで、毎晩腰掛けてはゆらゆら揺らしながらのんびりとした時を過ごして
             いました。 彼が夢に現れる時、必ず彼はそのロッキングチェアーに腰掛けているのです。
             私はベッドに横たわりながら、とても心地よく彼との会話を楽しんでいる。 ・・・彼が夢に
             出てくると、本当に何ともいえず心地よいのです。 彼の夢を見るようになってから、
             眠るのが待ち遠しくさえ思いました。 その話しを霊感の強い友達に話すと、「気を付けな。
             それ、地縛霊があんたに恋をしちゃったのかもしれないよ?話しを聞いてる限りじゃ、妙に
             リアルだもん。 ヤバイかもよ。」「・・・そんなことないよ。だって、夢にしか出てこない人
             なんだし・・・。」「霊ならそのうち夢以外でも現れると思うよ。本当に気をつけて。」
             友達に念を押され、それでも私はそんな忠告など、さほど気にも留めていませんでした。
             ・・その夜、帰宅してみて驚きました。誰もいないはずの私の部屋。明かりを付けてみると
             ・・・・・ロッキングチェアーがゆらゆら揺れているではありませんか。 そう、たった今まで
             そこに誰かが腰掛けていたような気配が・・・。 私はゾッとして、その頃は携帯電話など
             ありませんでしたから、側の電話ボックスまで駆けて行き、すぐに友達に連絡をしました。
             しかし、なかなか電話が繋がりません。 ふと、背後に人影を感じました。電話を待ってる
             人がいるのだと思い、振り向くと・・ 薄暗い電話ボックスの外には、なんと夢の中の彼が
             ぼんやりと立っていたのです! 彼を見た瞬間から、私の身体は硬直し、声も出ません。
             心の中で、必死に彼に問い掛けました。 「貴方は・・・誰?」 「・・・君の恋人さ・・・。」
             「どうしてここにいるの?」 「・・・君をずっと待っていたんだよ・・・。」 彼はそう囁くと
             私の方へ近寄ってきます。 やっぱり霊だったのか。 悔やんでみても仕方がないし、
             とにかくなんとか退散して頂かなければと必死に抵抗するのですが、 強烈な力に
             引き寄せられ、意識が遠退きそうになるのです。 その時、「どうしたの?!」 という
             声で意識がふっと戻りました。 霊感の強い友達が、とても気になって、私の後を
             追ってきたらしいのです。「・・・やっぱり霊だったみたい・・・」 私は倒れこむようにして
             彼女胸によりかかった。「さっきね、変な白い影を見たの。あれはきっと、地縛霊ね。
             この地にずっとさまよっているんだわ。ねえ、とりあえずここ引っ越した方が良いよ。」
             「引越し?」 「相手があんたを心底好きになってしまう前にこの地域から離れないと、
             ずっとついてこられちゃうよ。今ならまだ始まったばかりだし、身体も触れ合って
             いないでしょ?大丈夫だと思うわ。地縛霊から逃れるにはそれしか方法はないよ。 
             じゃないと、いつかはあっちの世界へ引きこまれて行くからね。」その後私は直ちに
             お祓いを済ませると、速やかに引越しをしたのです。 幸いその後、彼の夢は全く
             見なくなりました。 お気に入りだったロッキングチェアーも、念の為泣く泣く処分して
             しまいました・・・・・。

             もし・・・霊に本心から愛されていたとしたら・・・・・。 そう考えると今でも恐ろしさのあまり、
             鳥肌が立ってしまいます。・・・貴方ももし、私のように見知らぬ誰かが夢に現れた時には・・・
             十分お気をつけ下さいね・・・・・。
























































 



                           第十二話 〜 テレビ   


            
夜中、トイレに起きた時など、ふとリビングに置いてあるテレビの存在が妙に気になる事って
             ありませんか? 普段は私たちを楽しませてくれるエンターテイナーのテレビも、実はとても
             霊の入り易いものであるということをお忘れなく。 特に霊の通り道に置いてあると、そこは
             知らずに霊の温床と化しているかもしれませんのでお気をつけ下さい。 
             ・・・東京で一人暮しをしていた頃、 私は結婚する友達から一台のテレビを頂きました。
             とても大きなテレビで、まだ買ってから半年も経っていないものだったのでとても嬉しかったの
             です。 早速リビングに置き、ビデオ鑑賞などを楽しんでいました。 ・・・・しかし・・・・楽しい
             はずのテレビなのに、夜が更けるにつれて、なんだか電源をオフしたくなってしまう。テレビの
             音が耳障りになり、ある日、私はビデオもそこそこでオフしてしまい、静かな部屋で、ソファーに
             横になりながら、占いの本を読んでいました。 ・・・・しかし、なんだか落ちつかないのです。
             何か、誰かに見られているような、ゾクっとする視線を感じ、何気に電源をオフしているはずの
             テレビに目を向けてみると・・・・・ 
              
・・・なんと、黒い画面にぼんやりと不気味な女の顔が浮かんでいるではありませんか!
             女は恨めしそうな視線をじっとりと私の方へ向け、何かを訴えている様子。 一瞬凍りついた
             私は咄嗟に側にあったバッグの中からレーザークリスタルを取り出すと、それを画面に向け
             ました。しかし、レーザークリスタルを向けるまでに画面の中の女は消え去っていました。
             私は急に恐ろしくなり、その後特に変化を起こさず、不気味な沈黙を守るテレビに耐えられ
             なくなって、電源を入れたのです。お笑い番組が入り、一気に部屋の雰囲気が賑やかに
             なりました。私は少しだけ緊張感から解放され、冷蔵庫にワインを取りに行きました。 
             リビングに戻ってみると・・・・・
              ・・・何故か、画面はザーーーっという音と共に砂の嵐に変っていたのです・・・・・
             私はリモコンを探し、チャンネルを変えようとしましたが、なかなか変りません。 そのうち、
             ザーーっという音の中から、聞き取れるか取れないかの不気味な呻き声が聞こえだした
             のです。結局、何を言っているのか聞き取れず、恐怖に震える中、テレビの主電源をオフ
             しました。あまりの不気味さに、その日の夜は近所に住む友達の家で一夜を明かしました。
             その友達も霊感があるので、明くる日テレビを見てもらうことに。 彼女は私の部屋へ入ると
             一瞬「ウッ」とした表情を見せました。 「何?」 「ヤバイよ、あれ。」 「何が?」 「テレビ!」
             私には全く見えないのですが、彼女にはテレビの中に映り込む強い霊を感じてならないと
             叫ぶように訴える。 そういえば、テレビを頂いた友達は、殆どこのテレビのスイッチを入れる
             ことなく、暗い部屋の隅に埃まみれで置きっぱなしにしていたっけ・・・。 「女の霊だね。
             きっと、さまよっているうちに、何かのタイミングで入りこんじゃったんだ。・・・怨念の強さを
             強烈に感じるわ・・・・・。 手におえない厄介な怨霊だから、即刻手放した方が良いよ、これ。
             今に乗移られるよ」 ・・・一応友達と二人で手放す前に、お塩とお水、そしてお線香を供え、
             丁寧に手を合わせた。 幸い、彼女の親戚にお寺の住職さんがいらっしゃって、そこで
             引取って頂ける事に。 住職さんも、丁度テレビが欲しかったと大喜びでした。 今でもその
             テレビを見ているらしいのです。 ・・・そして、恐ろしい女性の怨霊には、なんとか上がって
             頂けたそうです。(さすがプロ!)

             皆さんの家のテレビは、埃などかぶっていませんよね?部屋の隅の暗い場所に置くのは
             避けた方が無難です。   ・・・・ ほら ・・・・ 貴方の側にあるテレビの画面から・・・・・・・ 
             ゾクッとするような冷たい視線を感じませんか? ・・・・・・ もし、貴方が今、一人きりで
             これを読んでらっしゃるとしたら、きっと・・・・・・ フフフフフ・・・・・ 


























































 



                           第十一話 〜 自殺の名所 

                                       
              10年程前、私は社宅に住んでいました。 随分古い建物で、 いつしか霊が好んであちこちに
              吹き溜まりを作り出すようになったのだと思います。 私が入居した頃には、霊などまるで感じ
              なかったという方々でさえも、既に所々で不思議な現象に遭遇したらしいですから。 一番恐ろし
              かったのは、ある棟の7階の一番奥の、建物の内側に面している通路の同じ場所から、飛び降り
              自殺者が数人出たという事で、いつしかそこは、そう呼ばれることを望む望まないにかかわらず、
              自殺の名所と呼ばれるようになってしまったのです。その号棟の7階は入居希望者が多いのにも
              かかわらず、殆ど空き部屋でした。 ある日、私は何かの当番で、どうしても回覧板を噂の棟の
              7階に住んでいる方に回さなければならなくなりました。 夫は長期出張中。 丁度梅雨時の
              薄暗い天気の頃でした。 仕方なく、お守りやお塩を持参し、心を強くもって7階へ行く決心を
              固めました。ドキドキしながら無事エレベーターを降り、部屋を目指してわき目もふらずまっすぐに
              歩きました。回覧板を渡しに伺った部屋の方は留守で、仕方なくドアのぶに回覧板をかけると
              少し気が緩み、「ふ〜・・・やだなあ・・・」と呟いて何気に向かいの側の棟に目をやると・・・・・
              突然私の目前を、上から下へ大きな黒い物がふいにバサッとよぎったのです! それは・・・・・・・

              ・・・・・まっ逆さまに落ちていく男だったのです!

              男が落ちていく瞬間、私は男と確かに視線が合いました。私は投身自殺の瞬間に立ち会って
              しまったのだと思い、すぐに男が墜落したであろう建物の下を見下ろしたのですが、下には何も
              なかったのです。 しかし、 男が落ちたと思われた場所には、ほんの少し茶色っぽいシミの
              ような跡が、ぼんやりと見えたような気がします。 

              落ちていく瞬間、 男と視線を交えたあの一瞬・・・・確かに男は笑っていた・・・・。

              そんな事を思い出し、下を見下ろしながら身震いしていると、突然誰かが私の背中を強く押して
              きたのです!私を落とそうとしている強い霊の魂を感じました。これはヤバイ!落とされてしまう!
              私は必死に抵抗し、般若心経を唱えながら、ポケットに忍ばせていた塩を背中へ投げました。
              「うううううぅぅぅぅぅ・・・・・・」 という、不気味な男の呻き声と共に、私の背中を押すものが消え去
              りました。 ・・・・危なかった・・・・ 長居は無用。 とっとと家に帰ろう。 障らぬ神に祟りなし。
              私は足早にその場を立ち去りました・・・・。 
              自殺の名所と呼ばれる場所は、絶対に興味本位で行ってはいけませんよ。 危険ですからね。
              いつまで経っても成仏できず、寂しく哀しく苦痛を伴いながら、何処かで貴方を引き込もうと待ち
              構えているかもしれません・・・・・・・・・。
 
                 ・・・・・これを読み終えた後、背後に不気味な呻き声を聞きませんでしたか?・・・・・































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