第四十話 〜 連れ帰った霊      


               
・・・貴方は・・・外出中・・・例えばそう・・・人混みの中で・・・体が急にだるくなったり、
                 鳥肌が立つような寒気を覚えたことはありませんか?
                 あの、風邪の引き始めのような悪寒や頭痛等と共に・・・体が妙にずしっと重苦しく
                 感じたことなどは・・・ありませんか?
                 ・・・きっと歩き疲れたのだろう・・・そう思い直し・・・帰宅してゆっくり身体を休める夜・・・
                 ふと部屋の隅や天井・・・そして貴方の背後などに・・・何か異様な視線や気配を感じた
                 ことはありませんか・・・? ・・・そう・・・それはきっと・・・・・・・     
                                                   
                 ある天気の良い休日、家族でアウトレットモールへお買い物に行った時のことです。
                 穏やかな陽気に誘われ、モールの中は人でいっぱいでした。
                 どのお店もバーゲンセール中で、活気に溢れる中、私も子供服のバーゲンに目移りし、
                 夢中になっていました。・・・ワゴンの中から娘に丁度良さそうなブラウスを手にしたその時、
                 急に背筋がザワッと寒くなり、あれ?何かおかしい・・・と、感じていると、身体が次第に重
                 苦しくなってきて、私はその場にしゃがみ込んでしまいました。
                 「おかーちゃん、どうしたの?!」
                 娘はそれまで楽しくお喋りしながらワゴンを覗いていた私が急に顔色を変えてしゃがみ
                 込んだのを心配し、
                 「ちょっと待っててね!おとーちゃん呼んでくる!」
                 と言うと、慌てて外で待っている彼や息子を呼びに行きました。
                 側にいた店員さんも私の異変に気付き、
                 「大丈夫ですか?」
                 と、寄ってきました。 ふと、店員さんが声をかけてきた方に見える等身大の鏡に目を
                 やって驚きました。

                 
・・・一瞬でしたが、白い着物を着た髪の長いやつれた女性が、私の背中にダラリと寄掛かり、
                 恨めしそうな形相でこちらを伺っている姿が見えたのです!

                 「大丈夫です。ちょっと目眩がしたもので・・・」
                 私はそう言いながら、背後を振り払うように置き上がると、すぐにバッグの中からレーザーク
                 リスタルを取り出し、握り緊めました。
                 「どうした?気分でも悪くなったか?」
                 慌てて駆け寄ってきた彼も息子も心配そうに私の顔を覗き込みます。
                 「・・・大丈夫よ。平気平気。」
                 そんな私の握り緊めた手から、レーザークリスタルの鎖が垂れているのを見ると、彼はまた
                 いつもの事だろうと察し、速やかに帰ることにしました。

                 ・・・しかし・・・その場を離れても・・・車で移動しても・・・なかなか重苦しさや寒気は消えて
                 くれません。それどころか、寒気はどんどん強く感じるようになるのです。
                 「・・・ヘンねぇ・・・さっき撥ね返して少しは軽くなったはずなんだけど・・・」
                 車内はエアコンが効いて暖かいはずなのですが、寒気は一向におさまらず、ガクガク震えて
                 いると、私だけではなく、なんと息子や娘、そして彼までもが寒がるようになりました。
                 「・・・かーちゃんさぁ、連れて来ちゃったんだよ、きっと。」
                 息子は諦め混じりにポツンとそう呟きました。
                 「・・・そうみたいね。やっぱり撥ね返すだけじゃダメなのね・・・帰ったらすぐになんとかしなきゃ・・・」

                 ようやく家に辿りつき、すぐに浄霊の準備を始めました。・・・が、家につくと、それまでの寒気が
                 一気に激しい眠気に変り、だるくて思うように身体が動いてくれません。睡魔に勝てず、とうとう
                 私はリビングのソファーに倒れ込んでしまい、そのまま眠ってしまいました。

                 1時間程眠ったのでしょうか。
                 「・・・・かーちゃん、かーちゃん、トイレが変なんだよ!」
                 という息子の声に起こされ、ウ〜ン・・・と唸りながら鉛のように重い身体をやっとの思いで起こすと、
                 トイレへと向いました。 トイレの中を見ると、なんと床がびっしょり濡れています。
                 「言っとくけどオシッコとかじゃないよ。俺もとーちゃんもこぼしてなんかないからな!」
                 と、息子。
                 「おかしいんだよ、なんだか便器の下からしみ出るように濡れてくるみたいなんだ。今までこんな
                 こと起らなかったのになぁ・・・。君が眠っている間も、2回くらい拭いたんだけど・・・また濡れてるな。」
                 と、彼。 ・・・すると子供部屋から娘の叫び声が聞えてきました。
                 「おかーちゃん、大変!窓がすっごく濡れてるの!来て!」
                 子供部屋へ行ってみると、窓は今まで見た事もないようなひどい結露に覆われ、タラタラ水が
                 床に垂れ落ちる状態でした。
                 子供部屋だけではありません。寝室や私の部屋の窓も同じ状態でした。
                 すぐにバスタオルで窓を拭い、床を拭きました。
                 ・・・これはすぐに浄霊しなければ大変なことになる・・・・そう思い、家族に手伝ってもらい、
                 各部屋毎に浄霊の準備を施しました。きっと霊は私には憑依できず、家の中をウロウロと
                 さまよっているはずです。 各部屋の窓を開け、浄化の準備が整うと、先生の指示に従い、
                 浄霊をすすめて行きました・・・・。
                 ・・・換気が良かったのか、それとも幸い霊が成仏して下さったのか・・・その後、トイレや窓の
                 湿気は解消されました。 浄化を行っている最中、トイレの電球が突然切れたり、お風呂場から
                 叫び声が聞えたり、不可解な現象が度々起きましたが、その後、異変は消えました。
                 ショッピングモールの鏡に写った、あの恨めしそうな形相をした女性の仕業だったのでしょうか?
                 ・・・それはわかりません・・・。

                 ・・・気をつけて下さいね・・・貴方も・・・もしかしたら・・・知らずに連れ帰ってしまっているかも
                 しれませんよ・・・・。 特にご自分で霊感が強いと日頃お感じになっている、そこの貴方・・・。 
                 例えばお風呂で髪を洗っている時・・・背中や腕に、冷たい感触が走ったことはありませんか?
                 ・・・きっとそれは・・・天井から水滴が落ちたもの・・・そうかもしれません・・・・しかし、もしかすると
                 それは・・・・
                                                       
                 
                 
                 















        














































 

                    第三十九話 〜 正体のない訪問者 


             
  ・・・あなたは・・・家の中でふと・・・何か異様な影を感じたことはありませんか?
                ・・・テレビやラジオから、聞えるはずのない不気味な囁きが聞えたことがありませんか?
                ・・・そんな日の真夜中、息苦しくて目覚めたことは・・・・?
                ・・・・その時、枕元に、影の正体が・・・・。

              
異変が起り始めたのは、数日前、彼が体調を崩し始めた頃からでした。
                顔色の悪い彼は会社を早退し、帰宅。真冬の寒さと共に、彼が玄関のドアを開けた瞬間、
                突き刺さるような強い冷気が部屋の中にビュ〜っと吹き込んできました。
                ・・・今思えば、その冷気が不思議体験の始まりだったのかもしれません。
                彼の看病をしているうちに、ふと何か、鳥肌の立つような異様な空気を感じるようになり
                ました。 キッチンでお料理をしていても、パソコンに向っている時も、リビングで寛いでいる
                時も、時折何か、ヒソヒソコソコソと、小声で複数の人々が囁き合うような不気味な声が、
                一瞬ですが耳元を過るのです。 と、同時に、何か黒っぽい影が見えたり感じたりし始め
                ました。 ・・・やだなぁ・・・と、思いながら、できるだけ気にしないよう努めましたが、
                異変は日々頻繁に起きるようになりました。
                彼が体調を崩してすぐ、娘が体調を崩しました。娘が体調を崩す前日、幼稚園へ娘を
                迎えに行く車の中でラジオを聞いていたのですが、その際急に電波が弱くなり、音が聞き
                難くなったと思うと、雑音に混ざって、例の不気味なヒソヒソ声が聞えてきたのです。
                気味が悪くなり、すぐにラジオを消しましたが、その声がずっと耳について離れません
                でした。
                娘の体調は次第に悪くなり、グズる娘に添い寝をし、娘のベッドで一晩過ごしました。 
                ・・・・その夜、私は息苦しさと、激しい耳鳴りに目を覚ましました。娘は横でスヤスヤ
                眠っています。 トイレに行きたくなった私は、そっと娘のベッドから抜け出ると、恐怖心
                を抑え、トイレへ向いました。 ヒンヤリとした冷たい空気を背後に感じ、ゾクゾク背筋を
                震わせながら急いで用をすませると、すぐに娘の元へ戻ろうとしました。

                
と、その時!

                突然、背中を思いきり誰かに突かれ、(蹴られたような感触でもありました)
                私は廊下の真ん中に倒れてしまったのです。 一体何が起ったのかわからないまま、
                起き上がろうとした私の背中に、何かがまたがってきたのです。 声を出そうとしても
                何も言えず、身体は金縛りにあったようにうまく動いてくれません。 逃げようとする
                私を力いっぱい抑えつけ、今度は足首を掴まれグイグイ引っ張られます。それはもう、
                物凄い力でした。すぐに玄関辺りまで引っ張られ、そこで首を強く押えつけられたのです。
                するとこそで、あの聞き慣れたヒソヒソ声がまた聞え始めました。その声は次第に耳鳴り
                のようにグワーンと耳を圧迫し、私は思い出したように夢中で除霊の呪文を心で唱え
                始めました。
                
                「・・・?おかーちゃん?だいじょーぶ?」
                と、声がして目を開けると、私の横で娘が心配そうに私の顔を覗きこんでいます。
                私は娘のベッドで眠っていました。
                (・・・夢か・・・・)
                一瞬そう思いましたが、私は確かに起きてトイレに行った記憶はあります。
                しかも、頭を上げようとすると、首筋から背中にかけて、鋭くズキンと痛みが走りました。
                ・・・夢だったのか現実だったのか、あの世との狭間にいたのか、よくわかりませんが、
                次の日も、私は原因不明の激しい頭痛に一晩悩まされ、何時も誰かに首を後から押え
                つけられているような感触が離れないのです。
                さすがに辛さもピークになり、信頼のおける先生のところを訪問し、浄霊して頂き、家中
                全てを清める為の物も頂いて来ました。
                
                お陰様で、首の痛みは随分和らぎ、黒い影を感じる事も、不気味なヒソヒソ声も聞えなく
                なりました。 今回の出来事が、彼や娘の体調と関係があるのかどうかはわかりませんが、
                二人ともとても元気になり安心しています。 今夜からはやっと安眠できそうです・・・。

                ・・・あなたは・・・ふと家の中で・・・何か異様な影を感じたことはありませんか?
                ・・・テレビやラジオから、聞えるはずのない不気味な囁きが聞えたことがありませんか?
                ・・・その影の正体は・・・・今、あなたのすぐ後ろに・・・・ほら・・・・


                                  

































































 


                      第三十八話 〜 エレベーター 
              
             
                ・・・貴方は・・・エレベーターの中で・・・何か奇妙な異変を感じたことはありませんか?
                人があまり乗ることのないエレベーターの中は、霊の溜まり場になっている場合が
                多いのです・・・ 特に・・・そう・・・鏡のついたエレベーターは・・・・。
                
                10年程前、私はある社宅に住んでいました。第十一話にも書きましたが、そこは
                随分古い建物で、全体的に薄暗く、いつしか霊が好んであちこちに吹き溜まりを作り
                出すようになったのだと思います。 入居する前は、霊などまるで感じなかったという
                方々でさえも、所々で不思議な現象に遭遇したらしいのです。 一番恐ろしかったのは、
                ある棟の7階の一番奥の、建物の内側に面している通路の同じ場所から、飛び降り
                自殺者が数人出たという事で、いつしかそこは、そう呼ばれることを望む望まないに
                かかわらず、自殺の名所と呼ばれるようになってしまったのです。その号棟の7階は
                社宅入居希望者が多いのにもかかわらず、殆どが空き部屋でした。 

                ある日私は自治会の当番で、どうしても、自殺の名所と言われている建物の5階に
                住んでいる方に資料を届けなければならなくなり、とっても気が重い中、
                「7階まで行くわけではないのだから・・・」
                と、自分を励ましつつ、お守りやお塩などを持参し、その棟へ向かいました。
                妙に薄暗く、ひんやりとしたエレベーターの前まで行くと、私は恐る恐る上向きの
                三角ボタンを押しました。 7階で止まっていたエレベーターが、
「グオン・・・」と、
                不気味な音を立てて動き始めました。ヒュ〜っと下がってくる音と共に、私は寒気を
                感じていました。
                ・・・私の目の前でエレベーターの扉が開いた時、何か、気味の悪い冷気のような
                ものを感じました。
                「・・・夏なのに、どうしてここってこんなに寒く感じるのかしら・・・?」
                そんなことを思った時に、エレベーターの扉はガタンと閉まりました。5階のボタンを
                押すと、
「ギィ〜ン・・・」という鈍い音を立てて上がり始めました。
                ・・・2階・・・3階に差しかかった時、冷気は急に強くなり、急に耳鳴りや吐き気が
                してきました。
                「・・・おかしい、何かがいる・・・」
                恐怖心が募り、すぐに4階のボタンを押したのですが、そのまま素通りされ、押した
                はずの5階も止まらず、エレベーターはギィ〜〜〜ンと音を立てて上がって行きます。
                「・・・やだ・・・誰かが・・・見てる・・・」
                私は何か異様な気配を背後に感じました。確かに何者かが、この狭いエレベーター
                の中で、息を潜めて私をじっと見ている・・・そう感じた瞬間、
             
                ・・・・
ガクン!と、強い衝撃があり、エレベーターの動きが止まり、電気がフッと消え、
                シーンと静まりかえってしまったのです! 私は恐怖心を抑え、お守りを握り緊め、
                お経を唱えました。

                暫くすると、電気がつき、私は慌てて緊急用ボタンをガチガチ叩きました。・・・しかし、
                まだ誰かが見ている気配を強く感じます・・・。緊急用ボタンを叩きながら、私はその
                突き刺さるような冷たい視線に誘われ、ゆっくりゆっくり振り返ってしまったのです。
                ・・・背後には鏡がついていました・・・。 ・・・そしてそこには・・・・

                白い服を着た血塗れの女が、鏡の中から私に手招きしているではありませんか!
                ・・・その手は今にも鏡の中から抜けて出て来そうな迫力です。

                
「きゃ〜〜〜〜〜〜!」 

                恐怖のあまり、腰を抜かしてしまいました。 それでも何とかポケットに忍ばせてあった
                塩をとりだし、鏡に向かって蒔きました。 ・・・・何故かそこからの記憶は全くありません。

                ・・・気づくと、私は最上階の廊下に一人蹲っていました。押したはずのない7階の廊下に
                何故いたのかは、未だに謎です・・・・。



                                     
                



















































































 

                       第三十七話 〜 悪霊の匂い


                  ・・・・貴方はご存知でしょうか?霊には独特の匂いがあるということを・・・・・。

                  ・・・ネットオークションにすっかりハマってしまった私は、出品準備や入札した
                  品のチェックの為、時間を忘れ、パソコンに向かっていました。時計を見ると、
                  もう午前2時を過ぎていましたので、「そろそろ寝なきゃ・・・」 と思い、パソコン
                  の電源を落としました。 
                  ・・・ふと、背後に何か冷たい視線を感じ、振り返ったのですが、誰もいません。 
                  気味が悪くなった私は、すぐにベッドへもぐり込みました。
                  ・・・しかし・・・・ベッドに入ってすぐ、トイレに行きたくなってしまいました。
                  やだなぁ・・・・怖いなぁ・・・・でも行かないと眠れないしなぁ・・・・等と思いつつ、
                  恐々ベッドを抜け出し、トイレへ行く事にしました。 寝室からトイレへ行くには、
                  リビングを通らなければならないのですが、リビングを通った時、微かな異臭を
                  感じたのです。
                  「・・・何だろう?生ゴミの臭いでもないし、ハムスターのとも違うし・・・・」
                  思い当たる原因を頭の中で廻らせ、トイレへ行きました。 何事もなく、トイレ
                  から出て、またリビングを通ると・・・臭いが更に強くなっているように感じました。
                  「・・・ヘンねぇ・・・? どこから臭うのかしら・・・・・。」
                  ・・・・と、薄暗いリビングをゆっくりと見渡し・・・・私は凍りつきました。

                  
リビングの隅に、ゲッソリと痩せ細った気味の悪い男がボ〜っと立ち、こちらを
                  見ているではありませんか!


                  一瞬泥棒かと思いましたが、私がその男に気づいた瞬間、男はフッと消えて
                  しまいました。・・・異臭は男を見た所から漂っています・・・。 
                  「・・・きっと悪い霊だわ・・・・」 
                  私は確信し、すぐにリビングの窓を開け、男がいた場所を清め、全ての部屋に
                  清める為のお香を置き、霊の通り道になっている玄関から突当る窓の間も
                  念入りに清めました。 きっと、どこからか迷い込んできて、私の家に現れたの
                  でしょう。 しかし、うっかり私に気づかれて、消えてしまったのかもしれません。 
                  その後、幸い男を見ることも、異臭もなくなりました。

                  霊感の強い方なら霊の匂いを感じた経験がおありかと思いますが、私が感じる
                  悪い霊の匂いは、何か、鼻につく硫黄のような匂いなのです。
                  ・・・誰だって悪霊には住みついて欲しくないですよね。 寒い季節ですが、
                  お部屋の換気とお掃除はこまめにすることを心がけ、部屋の中に古い気を溜め
                  ないよう、注意しましょう・・・・。
                  ・・・いくら換気をし、しっかりお掃除をしても消えない異臭は・・・もしかすると・・・・


                  



























































 

                      第三十六話 〜 車   

              
               最近車に乗ると、背筋にゾクゾクッと悪寒が走り、同時に何か不気味な視線を
               感じてなりませんでした。特に一人で運転している時、後部座席から、奇妙な
               物音や気配を感じてならないのです。
               ・・・車には霊が憑きやすいといいます・・・。ですから、私のように霊感の強い
               方は、できるだけ毎年、車を祓って頂いた方がいいのです。しかし、今年は
               何となく後回しになってしまい、車を祓いに行きそびれていました。 
               ・・・お盆の頃からでしょうか。 車を運転する度に、何か異様な気配を感じ
               始めたのです・・・。

               今朝もいつものように娘を幼稚園へ車で送り、そのまま帰宅しました。 娘を
               園で降ろした時、一瞬ですが、外の冷気と共に、突き刺すような鋭い光がスッと
               車の中に入ってきたように感じたのです。
               「何かしら・・・?」
               と思いましたが、特に気にもとめず、娘を送り届けた後、自宅へ向かいました。
               何の異変もないまま帰宅し、車を降りると、そのまま部屋へ入ろうとしました。
               と、その時、娘を幼稚園に降ろした際に感じたのと同じような、強く突き刺す光が、
               また私の背後から腰の回りを一瞬ぐるりと回転しました。 
               「・・・・・・?」
               私は気味が悪くなり、恐る恐る後ろを振り向き、車を見た瞬間、恐怖のあまり声が
               出ませんでした。

               
なんと運転席に、青白い顔をした見知らぬ女が恨めしそうに私を見つめ、
              座っているではありませんか!

               
・・・このままでは車に憑いてしまう・・・・そう思った私は、勇気を出して車に近づき、
               いつも携帯している粗塩を、ブラの中から取り出し、(私は半紙に包んだ粗塩を、
               いつもブラの右カップに忍ばせてあるのですよ) お経を唱えながら車に振りかけ
               ました。一瞬強い圧迫感のある空気を感じましたが、車の中の女はスッと消え去り
               ました。 私はすぐに部屋へ戻り、粗塩やお札、レーザークリスタルなどを手にすると、
               緊張の中、今までも異変が起こる度、幾度となく助けて頂いている神社へと向かい
               ました・・・・。

               ・・・車は霊が憑きやすいといいます・・・。特に霊感の強い方は、気をつけて
               下さいね・・・・。・・・中古車を選ぶ際には、くれぐれも慎重に・・・。
                              
               



















                                     






































                     

                     第三十五話 〜 謎の鎧武者 ・・・ その1
                  

                  

     
・・・あなたは・・・傍で見守る・・・霊の存在を・・・

                         ・・・信じますか・・・?

     ・・・霊に関しましては、私がそう感じるだけであって、絶対にそれが本当、
     正しいということもいえませんし、証拠を見せろと言われても無理な話ですから
     何ともいえないものですが・・・・ただ・・・とても不思議な体験をしたことは
     確かなのです・・・。
    
     実は身内の一人が重い病気(癌)になってしまい、その人の守護霊、若しくは関わり
     が深いであろう霊が夢の中に現れたのです。 その現れ方がとっても強烈で・・・
     ・・・鎧武者なんです・・・その人。 その鎧武者が突然現れ出たかと思うと、

     「あなたについている者を病人の為に一人貸してほしい。」

     と交渉を始めたのです。
     ・・・最初はその突然現れた鎧武者が何を言ってるのかさっぱりわからなくて、
     それ以前にその図体のデカい迫力満点な姿が怖くて怖くて・・・・

     「あなたは魂を切り売りして商売をされてるだろう。その邪魔はしない。
     重要な者は連れて行かない。しかし弱っている者の為に一部の者を貸して
     欲しいのだ。」

     というようなことを言われました。すると私の後ろから、スッと何かが抜け去った
     感じがしたのです。 
     ・・・私にずっとついていた女性の守護霊の一人(補助霊?なのかしら?)が
     消えたようなのです・・・。 
     その後鎧武者はゆっくりと頭を下げました。 
     ・・・頭を下げられても・・・というかもう、何が何だかさっぱりわからず、
     怖いし気持ち悪いしで混乱していましたら、

     「病が治まるまで私があなたの傍に居させてもらおう。」

     ということになったんです。
     ・・・・?! このデカコワい鎧武者が私の傍にですって?? 何故??
     っていうか、コワイしイヤだよ・・・などと躊躇していると、

     「怖がることはない。力を貸して貰う代わりにアナタに頼り憑く霊を除けて
     差し上げるのだから。これで貸し借り成立。」

     とのことでした。 
     ちょ、ちょっと待って、成立だなんてそんなこと勝手に決められても・・・

        
     ・・・・・・と、その瞬間ハッと夢から目覚めた私は、居ても建てもいられ
     なくなり、

     「あ、あの・・・先程の鎧武者さん、もし・・・もしも今私が見た夢が本当
     でしたなら何か合図をお願いします・・・」

     と、手を合わせながら尋ねてみると、
     
ピシッ!ミシッ!という大きな音が(家が歪むような音が)したのです・・・。

     鎧武者さんが病臥す身内の者とどのような関係なのかはわかりませんが、
     とりあえずその後は彼のお陰なのか、不思議と夜中に変な霊が来なくなった
     ように思います。 
     ただ、気のせいかもしれませんが、後ろの一人がいなくなってしまってから、
     何となく体調が優れないような感じになりました。蕁麻疹や湿疹ができ易く
     なったり、突然辛い花粉症の症状が出たり、喘息のように咳が止まらなく
     なったり・・・
     体内に潜んでいたと思われる様々なアレルギー症状が一気に強く表れ出て
     てしまうようなのです。一番の変化は生理痛でした。いつもはそう
     ひどくはないはずなのですが、お腹と背中が痛くて辛くて起き上がれない
     ほどでしたし、頭が割れそうなくらいガンガン痛くなり、夜中、病院へ
     行こうかと思った程でした。
     (お友達に相談して護符を送って頂き、少し調子が良くなりつつありますが・・・)

     ・・・一方、身内の病状は、奇跡的に放射線治療や抗癌剤が効き、
     嬉しいことに治療を始めて3週間で癌細胞が少しずつ小さくなったのです。
     これにはお医者様も驚いていました。 私の後ろから抜け出た人の力なのか、
     本人の生命力の強さなのかわかりませんが、何はともあれ良い方向に向いて
     いることは家族にとって何より喜ばしいことでした。 そしてなんと、癌発見
     当初は、ステージ1〜4までの限りなく4に近い3とのことで、治る確率
     は30%弱といわれていたはずですが、3ヶ月という短期間で無事治療を
     終えて退院できたのです!・・・本当に・・・ありえないくらい驚異の
     回復力で、完治したようなのです!(嬉!)

     ・・・さて・・・ここでちょっと気になるのが例の謎の鎧武者さま。 
     ・・・癌がが治るまでという約束でしたから、無事完治し、退院したと
     いうことで、そろそろ役目は果たしたということになると思うのです・・・
     とはいえ、まだ退院したばかりで、辛い治療の後遺症もありますから、
     それがしっかり治って食欲などが回復するまでにはもう少し時間が
     かかるとは思うのですが・・・完全に普通の生活ができるようになる
     頃には、きっと約束通り鎧武者さまも去ってしまうことになるの
     ですよね・・・。
     そう考えますと、何となく寂しい気持ちになってしまいます。
     最初はあれ程気味悪がっていたのに・・・この数ヶ月、いつもそばに
     いてくださって、寄り付く霊を跳ね除けてくれたお陰で、それまでの
     ようにいたずらに金縛りにあったりよくわからない不思議体験をする
     ことも減り、夜はぐっすり安眠できるようになりました。 
     夜中の2時頃になると、決まって霊道付近に立つ気配を感じるのですが、
     その際には必ずラップ音が聞こえます。かといって、鎧武者さんから
     何か話しかけられたり、まして姿をハッキリ表してくることはなく、
     静かに私を見守って下さっているように思うのです。 
     ・・・・彼がいなくなったら、また怖い夢に魘されたり、金縛りや
     不思議体験が増えるのかなと思うと、戻ってほしくないなという
     気持ちになっています・・・なんて、身勝手なものですね。^^

     ・・・そんな複雑な思いの私は、ある不思議な夢を見ました・・・   
     2005年にはじめてみる夢ですから、初夢になりますね・・・。

     ・・・私は・・・暗く寂しい小道を一人、歩いていました・・・・
     人けのない寒々とした小道を、ただひたすら歩いているのです・・・・
     ・・・しかしその道は・・・一度通ったことのあるような・・・
     ・・・何となく、薄く記憶に残る道でした・・・

     ・・・風で草木がざわめき・・・・

     ・・・・・フクロウの物悲しい鳴き声が遠くから聞こえてきました・・・

     その時私は

     「・・・あ!・・・これは!」

     と、物悲しいフクロウの鳴き声を聞いて、あることを思い出したのです。

     「・・・あの時と同じだわ!」

     そう、鎧武者とはじめて出会った小道と同じだったのです!

     と、突然あの時のようにグワワワワ〜〜ンという激しい地響きを感じたと思うと、
     鎧武者が私の前に仁王立ちして現れたのです。

     私は静かに手を合わせ、心を落ち着けました・・・・。

     「・・・そろそろ、アナタに返す時が来たようだ・・・・」

     鎧武者は耳鳴りのように激しく唸る音と共に太く低い声で私に向かって
     そういいます。

     「・・・あの・・・お尋ねしたかったのですが・・・貴方様は・・・
     身内の者をお守り下さっている方なのでしょうか・・・?」

     恐る恐る尋ねてみますと、鎧武者は静かに首を横に振りました。

     「・・・で、では何故・・・身内の者に力を貸すことを・・・・?」

     「・・・・全ては自分の為にやっていることだ。」

     「・・・ご自分の為に・・・?」

     鎧武者はゆっくり頭を縦にふると、

     「そしてここへ来れば、念願の場へ行けるといわれたのだ。」

     「・・・・・・?」

     ・・・・・?? は? 私のところへ来れば? 念願の場へ?ってなんだそれ?
     どこのこと?? っていうか、誰にそんなことを言われたの??
     えええ????あたしゃ知らんよそんな場所!!


     ・・・と、混乱している最中にハッと夢から覚めてしまったのです。


     ・・・・・・そして今に至ります・・・。

     鎧武者さんは、今もまだ傍にいるようです・・・(--;

     彼のいう「念願の場」とは一体何なのか・・・・今後また、鎧武者さまとの
     関係に進展、異変等がありましたら、追ってこちらで報告させて頂き
     ますね・・・。 なのでその1とさせて頂きました。
 
        ・・・・・長々とここまで読んで下さってありがとうございました・・・。
        





                              



























































 
 
                     第三十四話 〜 怪談 


              怪談話をすると、霊を呼びやすくなります。 何人かが集まり、怪談話をするような時、
              中に一人でも霊感の強い人がいると、更に霊がそばに近寄って来やすくなるのです。 
              ・・・また、霊感にも色々あり、たとえ霊感が強くても、寄ってきた霊を撥ね返せるだけの
              強さがあればあまり問題はありませんが、問題なのは、霊媒体質で、憑依した霊を
              自分で撥ね返す力のない方が、たまたま怪談話しに加わってしまった場合です・・・・

              ・・・忘れもしません。 あれは、友達同士4人で温泉へ行った時の事です。気心の
              知れた友達との旅行は本当に楽しいものでした。のんびりお湯に浸かった後、美味しい
              料理にお酒がすすみ、話題は次から次へと尽きる事がありません。
              深夜0時を過ぎた頃、友達のA子がこう言いました。
              「マリって怖い話色々知ってるでしょう?夜も更けてきたことだし怪談話聞きたいな。」
              「ダメダメ。怪談話なんて、面白半分にするものじゃないの。怖い話しをしていると、霊が
              寄って来ちゃうんだから。 それにほら、今夜はB子もいるし、余計心配だからダメ!」
              と、私は霊感の強いB子を気遣うと、すかさずB子はこう言いました。
              「え?私なら大丈夫よ。多少怖い思いしても、マリの怖い話、聞きたいもの。」
              「何を呑気なこと言ってるの?B子は霊媒体質でしょう?沢山寄ってきちゃうよ。」
              私は強い口調でそう言いましたが、それまで黙って聞いていたC子は
              「じゃあさ、明るくして話せばいいじゃない?霊って薄暗いところに寄ってくるんでしょ?
              部屋の明りをつけたままだったら大丈夫じゃない?」と、言いました。
              「確かに霊を呼ばないように怪談話をしようとするなら、明るい光の下でするのが
              一番だけど・・・・」と、私が考え込むと、
              「でしょ?だったら一話だけでいいから話してよ。」 
              と3人に言われ、話し始めてしまったのです。

              私はあまり怖くない話を頭の中で選び、整理し、話し始めました。友達3人は、興味津々
              の眼差しで私の話に夢中です。 いくら部屋の明かりがついていても、真夜中ですし、
              私のおどろおどろしく話す口調にのまれ、友達の顔は、次第に強張ってきました。
              
              
「・・・・・と、その時!」

              話しが盛りあがり、私がそう叫んだ時でした。
              パチッという鋭い音と共に、部屋の明かりがフッと消えたのです!
              と同じに、部屋の中を一瞬、オレンジ色の怪しい光がス〜っと駆け抜けたのです!

              
「キャ〜〜〜〜〜〜!!!!! どうしたの?今の何?!」

              友達は怯え叫びました。私はすぐに部屋のドアを開け、外の様子を伺いましたが、
              廊下には明りがついています。 部屋の蛍光灯が切れてしまったのだろうかと思っ
              て振返ると、それまで怯えて蹲っていたB子に、異変が起きてしまったのです。 
              彼女の態度は豹変し、目つきが鋭くなり、私をじっと睨みつけています。 

              
「オイ!何か食い物持ってこいよ!」

              それはB子の声とは思えないほど、低く不気味な声で、私を睨みながら、薄暗い中
              ニヤニヤ不気味な笑顔が覗えます。

              「ど、どうしちゃったの?ねえ?B子?」

              A子やC子は動転し、私に助けを求めてきます。 ふと、窓に目をやり、驚きました。
              窓ガラスにはびっしりと、無数の青白い手が貼り付いていたのです!
              私はすぐに浄化の呪文を唱え、清めました。 ・・・霊が何者だったのかは定かでは
              ありませんが、幸いそれほど強い霊ではなかったのか、B子の体からすぐに抜け出て
              くれましたが、それでもB子は、その日から1週間くらいは、原因不明の頭痛、腹痛、
              吐き気に悩まされることになりました。

              ・・・霊感のある方、特に霊媒体質で霊を撥ね返すことのできない方は、怪談話には
              お気をつけ下さいね。心霊スポット等にも関らない方が無難です・・・。
              日記にも書きましたが、先日、「不思議体験の部屋」を読んで、気分が悪くなりました
              というメールを頂きました。その方は霊感の強い方で、怖い話はなるべく読まないよう
              にしていたらしいのですが、不思議体験の部屋の話を読んでしまった後、身の周りで
              異変が起きたり体調が悪くなったりしたそうです。本当に申し訳なく思います。
              控えめに書いているつもりですが、私は霊感がかなり強い方ですので、受けた霊を
              撥ね返す自信のない方は入室されない方が無難です。どうかご自分の責任の上で
              クリックをお願い致します。こういった声が多くなりましたら、不思議体験の部屋の
              閉鎖もやむをえなくなります。

              ・・・今、こうしてこの話を書いている最中も、何度もPCの画面がぶれたり消えたり
              フリーズしたりしています・・・。あ、たった今、誰かに背中を押されたような感覚が
              しました・・・。(恐)
              やはり、不思議体験の部屋は、これ以上続けない方がいいのでしょうか?
              ・・・・今回は三十四話ですが、百話まで書くのは危険かもしれませんね・・・・。
              今後の更新について検討してみます・・・。
                                
             
              
              
              










































 

                    第三十三話 〜 メルちゃん 


               人形は時として霊の依代となりやすい・・・ 第四話や第十六話でその怖さを
               書きましたが、ある日、娘がお友達からお人形の「メルちゃん」をもらって来て
               しまったのです・・・。

               娘のお友達、Aちゃんが、おばあちゃんから新しいお人形を買ってもらいました。 
               それまで遊んでいた古いお人形、メルちゃんを、「もう古いから廃品回収にでも
               出そうかと思っているのよ」と言うAちゃんのお母さんの話を聞き、可哀想だから
               と娘が譲ってもらうことになったのです。
               Aちゃんの家に娘を迎えに行って、当惑しました。 お人形は、できれば家に
               置いておきたくないし、まして人から譲り受けるものは、余計に念がこもって
               いそうなので、丁重にお断りしたのですが、娘がガンとして「家に連れて帰る!」
               と譲らず、仕方なしに古いメルちゃんを頂くことになりました。

               私は週末に、念の為、頂いたメルちゃんのお祓いをして頂こうと、早速神社に
               予約を入れました。
               ・・・しかし・・・恐れていた異変はお祓い前に起きてしまいました。

               その日の夜、寝室でぐっすり眠っていた時のことです。 ふと、誰かに髪の毛を
               ギュッと捕まれ、強く引っ張られる感触で目が覚めました。
               しかし、辺りには何の気配も感じられません。 ・・・夢かしら・・・・? 
               ・・・気のせい気のせいと心に言い聞かせ、またウトウトし始めた時

               
「・・・怖いよ・・・怖いよ・・・」

               という、耳にキーンと響く高い声と共に、また髪の毛を強く引っ張られ、私は
               驚きのあまりとび起き、明かりをつけました。・・・しかし、辺りには誰もいません。
               横では彼がスヤスヤ気持ち良さそうに眠っています。

               ヤダヤダ・・・。また浮遊霊が脅かしに来たのかしら・・・そう思いながら、明かり
               を消し、心の中でお経を唱えていると・・・・ 部屋の隅に、何か異様な気配を感じ
               ました。 その気配がする場に恐る恐る目をやると・・・

               
・・・部屋の隅に女の子が蹲って、シクシク泣いているのです・・・

               「・・・あ、あなた、誰? ・・・どこから来たの?」

               女の子は、ただ無言でシクシク泣くばかりです。 
               しかし、その子がこちらに流す冷たい波動が、心にジーンと響き、たとえようの
               ない痛々しい苦しみが私を襲いました。

               「大丈夫。泣かなくても大丈夫だからね。怖いことないからね。」

               私は女の子を必死に慰め、お経を続けました。

               やがて夜が明け、朝になりました。

               「おかーちゃん、おかーちゃん、大変!」

               娘が慌てて起きてきました。

               「どうしたの?」

               「あのね、メルちゃんの髪の毛、昨日まで金色だったのに、ピンクに変ってるの!
               濡れたらピンクになるけど、ずっと私と寝ていたから濡れるはずないよね?」

               ピンク色に変色した髪の毛のメルちゃんを抱き寄せ、その表情を確認したところ、
               一瞬ですが、昨夜の女の子の悲しげな表情と重なって見えました。
               ・・・もしかしたらメルちゃんに昨夜の女の子が乗移っているのかもしれない・・・
               そう思った私は、その日すぐに神社へ駆付け、無理を承知で頼み込み、
               その日のうちに、メルちゃんのお清めをして頂きました。
               神社にそのまま預け、供養して頂こうかと迷ったのですが、娘が大泣きしながら
               絶対にメルちゃんを手放したくないと言って聞かないので、仕方なく家に持ち帰り、
               暫く様子を見ることにしました。 

               すると、その日の夕方頃には、メルちゃんの髪の毛が、また元の金色に戻って
               いました。それを見て、きっと女の子は離れて行ったのねと思い、少し安心しました。 

               ・・・もしかしたら、メルちゃんに乗移っていた女の子は、捨てられるのが怖かった
               のではないかしら? ・・・などと考え、いつものようにキッチンで夕飯の仕度をして
               いると・・・・・・ 背後に何か冷たい気配が・・・・

               
振り向くと、冷蔵庫の隅に、また昨夜の女の子がしゃがみ込んで
          こちらをじっと見ているのです・・・。


               私は一瞬凍りついてしまいました。 ・・・やっぱり子供はそう簡単に離れてくれ
               ないんだ・・・ 溜息をつきながらそう思っていると、女の子はス〜ッと消えて
               しまいました。私は慌ててこういう事態を招いた時ばかりいつも頼っている先生に
               電話をし、メルちゃんの全てを話しました。

               「受話器をお人形に向けてみて。」

               先生は静かにそう言いました。私は指示通り、受話器をメルちゃんに向けました。

               「・・・そのお人形ね、ずっと持っていなさい。女の子とワンセットでね。」
               先生は、そうおっしゃいます。
               「女の子と・・ワンセットで?って、やっぱりまだ霊はお人形から離れていないの
               でしょうか?」
               「いいえ、離れたはずよ、他の悪い霊達は・・・。」
               「悪い霊?」
               「そう、どこでどう拾っちゃったかわからないんだけど、どうも悪霊も幾つか入って
               いたようね。 女の子はそれが恐かったんだね、きっと。それであなたに訴えて
               いたのでしょう。 でも幸いお祓いがよかったのか、悪いのは消えたみたいよ。
               その女の子ね、度々姿現すかもしれないけど、喜んでるのよ。だから恐がらない
               でね。 きっとこれからずっと貴方達家族を守ってくれるわ。 お人形、大切に
               しなさいね。粗末にしてると、悪いのがどんどん入って来ちゃうから気をつけてね。」

               ・・・・・・・・だそうです。(汗)
   
               やっぱり私には子供の霊が寄って来やすいようです・・・・。

               ・・・あれから一月程経ちました。 メルちゃんは娘に可愛がられ、楽しく生活して
               います。そして、ごくたまにですが、女の子は私のエプロンを引っ張ったり、背中を
               叩いたり、何かと悪戯をしてくるようです・・・・。(涙)

               ・・・貴方の家には、押入れや物置に放りっぱなしの古い人形はありませんか?
               ・・・どうか大切に扱ってあげて下さいね・・・。

                                 
               
               
               




               

               
               












































 

                      第三十二話 〜 玄関の鏡    


                ・・・小学校も夏休みに入り、息子も友達同士や子供会などで、午前中からプールや
               公園に遊びに行くようになりました。 ピンポ〜ンという音と共に、
               「〇〇く〜ん、公園行かない?」
               と、友達の元気な声と、ドアをドンドン叩く音がし、
               「今行くよ〜。じゃあかーちゃん、公園行って来るね〜♪」
               と、帽子をかぶり、水筒とゲームボーイを手にイソイソと外へ出ていきます。
               「お昼までには帰ってくるのよ〜!」 という、私の声は、きっと息子にはいつも届いて
               いないでしょう。
               息子が外出し、程なくしてまたピンポ〜ンという音が。インターホンの受話器を取り、
               「はい。」出たのですが、外はシーンとして応答がありません。 ・・・イタズラかしら?
               と思い、受話器を静かに置いたところ、再びピンポ〜ンと音がします。
               「はい?どなたですか?」インターホン越しに問いかけてみたところ、
               「・・・・あの〜・・・ゆうたですけど・・・・」
               と、男の子の声がかすかに聞えてきます。
               「ああ、〇〇(息子)ならたった今お友達と公園に遊びに行ったわよ。」
               「・・・・・・・。」
               男の子からの返事がありません。 ・・・・おかしいわね、ゆうた君ってお友達、あの子に
               いたかしら?記憶にないわ・・・。きっと新しいお友達なのかもしれないわね・・・。
               そんな事を考えていると、玄関のドアの新聞受けが、カタカタ開閉する音が聞えて
               きます。 ゆうた君、まだいるのかしら?そう思って玄関まで行きドアを開けてみると、
               外には誰もいませんでした。
               
               お昼に帰宅した息子に 「ねえ、ゆうた君って子、さっきうちに来たけど、知ってる?」
               と、聞いてみました。
               「・・・ゆうた?知らないよ。なんで?」
               「さっきね、ゆうたって子が、うちに来たのよ。」
               「そいつきっと家を間違えたんじゃないの?あ〜〜〜腹減った!死にそう。」
               「・・・そうね、きっと家を間違えたのね・・・」
               私はそう思い直し、オムライスを作り始めました。

               その日の夕方、夕食を作っていると、ピンポ〜ンという音が。
               手が離せない私を察し、息子がインターホンの受話器を取りました。
               「・・・・・・。」
               「誰?」 
               受話器を耳に当てたまま、無言の息子に問いかけました。
               「何も話さないんだ。イタズラかな?」
               息子がそう呟いた時、また新聞受けがカタカタ開閉する音が聞えました。
               「もしかしたら、またゆうた君かしら?」
               「俺、見てくるよ。」
               息子は玄関へ向かうと、ドアも開けずに何やらブツブツ話している様子。
               「誰なの?」
               キッチンから息子に問い掛けると
               「・・・かーちゃん、どうしたらいい?ゆうたが玄関の中に入ってきてるけど・・・」
               私は慌てて火を止め、玄関へと向かいました。
               玄関には息子以外誰もいません。
               「ゆうた君は?」
               「たった今、消えたよ。」
               「消えた?」」
               「うん、この鏡の中に消えて行った。」
               息子は玄関の下駄箱についている鏡を指差しました。
               私はすぐに鏡の前にお塩とお水、そしてお菓子を備え、息子と二人で合掌しました。

               ・・・きっと、私の家の玄関の鏡は、沢山の迷える霊達が、人知れず吸い込まれて
               いるのだと思います・・・。 ゆうた君もきっとその一人でしょう。 丁度玄関から
               廊下を渡り、突当りのベランダまでが、霊の通り道になっているのです。
               もう慣れてしまいましたが、時として、下駄箱の鏡の中に入り込んで行く霊も
               少なくないようです。一度は鏡を取り外そうと思いましたが、鏡もひとつの霊界へ
               上がる為のツールだということを知り、あえて取り外すことを止めました。
               悪霊は反射され、入り込めないようになっているようですから、置いてあっても
               害はないようです。
 
               ・・・貴方の家の、霊の通り道はどこでしょうか?・・・・・きっと、あるはずですよ・・・・
               貴方が気付いていないだけで、きっと・・・・。 夜中、家が軋む音がしませんか?
               側に鏡はありませんか? ・・・・その辺りが・・・・多分・・・・・・・       

                                  
               
















               
               

          






































 

                            第三十一話 〜 落武者    


               ・・・・これはある夏の夜、友達4人と鎌倉へドライブに行った時のお話です。
               ご存知の方も多いとは思いますが、鎌倉には有名な心霊スポットが幾つかあり、
               夜中の2時頃を狙って行けば、落武者の霊に遭遇できるという場所もあるそうで、
               よせばいいのにそこへ向かう事になりました。特に好奇心旺盛なB男は、カメラ
               片手に大はしゃぎでした。

               ・・・さて、目的地に辿り着きました。電燈ひとつない薄暗い空き地は、草が鬱蒼と
               生い茂り、夏の生温い風にザワザワ揺れ動いていました。 よく見ると、鬱蒼と
               生い茂る草の間から、小さな墓石らしきものがポツン、ポツンと顔を出しています。 
               「ねえ、今何時?」 A子がじれったそうに私に聞きます。
               「もうすぐ2時になるけど・・・・」
               「・・・な〜んだ、なんにも出やしないじゃん?」 B男がつまらなそうにしゃがみ込みました。
               ・・・それから10分程経ちましたが、辺りに異変はありません。
               「ねえ、マリちゃんは何も感じない?霊感強いんでしょ?」と、C美が私の肩を叩きます。
               「・・・・特に何も・・・・どうしてかしらね?いつもならこういうスポットに来ると、必ず何か
               感じるものなんだけど・・・・何も感じないのが逆に異様で薄気味悪いわ・・・・」
               「なんだよ、お前の霊感も当てにならないな。何も出ないみたいだし、そろそろ帰るか?」
               と、諦めモードのD男。
               「ああ、そうだな。」 と、B男が言うか言わないかの時でした。

               
きゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!
            
            
というA子の悲鳴が!!
               「どうしたの?」 と、みんなが駆け寄ると、
               「・・・い、今、私の首を・・・誰かが後ろから・・・絞めたような・・・・・」
               青ざめたA子は身体をガクガク震えさせ、私に凭れ掛かってきました。 ・・・スレンダーな
               A子の身体を抱き受け、私はとても驚きました。何故ならその身体はまるで大きな鉛の
               ようにずっしりと重く、私一人では抱えきれないほどの重さでした。
               「な、なんて重いの・・・?!」
               よろけながらふとA子の背後を肩越しに見ると・・・・・
                                               
                
気味の悪い血まみれの落武者が、恨めしそうな低い呻き声をあげながら
             A子の背中に凭れかかっているではありませんんか!!!
                
                「おい!何があったんだ?え?何か感じるのか?見えるのか?」
                B男は私の異変にも気付き、ふらつく私の身体を支えました。
                ・・・どうしよう・・・このままだとA子が憑かれてしまう・・・・。
                「・・・水・・・持ってきてくれないかな?車の中に、ミネラルウォーターがあったでしょ?
                お願い・・・・」
                私は咄嗟にC美にそう伝えると、気を失ったA子を抱え、静かにお経を唱えました。
                私がお経を唱え始めると、それまで静けさを保っていた草葉の陰から、なんと
                落武者の黒い陰が続々と現れ、よろけながらゆっくりゆっくりこちらに向かってにじり
                寄ってくるのです!
                「ああ、どうしよう!もう手におえない!あの世と繋がってしまったんだわ!」
                C美が持ってきてくれた水をA子の背中にかけてお清めの呪文を唱えると、速やかに
                全員を車に乗せ、その場から去ったのです・・・

                ・・・翌朝すぐに、信頼の置ける先生の元へ友達全員で訪問し、しっかりと浄霊して
                頂きました・・・・。先生から厳しいお説教をされたのは、言うまでもありません。

                ・・・鎌倉への真夜中のドライブは危険ですので、特に霊感の強い方はなるべく夜中
                の12時以降は止めた方が無難です。
                第3話でもコメントしましたが、特に心霊スポットへ自ら面白がって行く事は、霊や魔に
                とって自らを供物として供えた事になりますから、運を食われたくない方は、絶対に
                思い止まる事をおすすめします。 ・・・・この夏、肝試しは程々に・・・・・・・・・              
                                    
             
                
                

               
               
               

           
































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