四十一話 〜 無邪気な感触


          
 
・・・最近、我が家では不思議な現象が相次いで起こっていました。例えば、確かに机の
             上に置いてあったはずのペンが、キッチンのシンクの中で見つかったり、娘の部屋に飾って
             あるはずのぬいぐるみが、何故か私のベッドの中から出てきたりと、気のせいでは片付け
             られないような出来事が起きていたのです。 また、ずっと調子が良かったはずの
             パソコンが突然動かなくなり、新しいものに買い換えなければならなくなったり、
             続いてテレビの調子も悪くなってきたと思っていましたら、突然電源が入らなくなって
             しまったり・・・。
             しかし、電源がつかなくなったはずのテレビですが、夜中、ふと喉が渇き、お水を飲みに
             キッチンへ行く途中、何気にリビングに置いてあるテレビに目をやり驚きました。

             
・・・なんとテレビは砂の嵐になっていて、そこには時折複数の顔らしきものが浮かんで
             いるように見えたのです!

                                       
             怖ろしくなった私は、すぐにテレビを消そうとリモコンを探しましたが、探している間に
             テレビの画面はフッと何事もなかったかのように真っ暗に消えてしまっていました・・・・。

             そんな奇妙な出来事が続いていたある夜のこと・・・。彼は出張中で、私は一人、
             広いベッドを独占し、その夜はいつもより早めに休みました。・・・どのくらい眠っていた
             でしょうか・・・ふと背後に・・・寝室のドアがゆっくりと開く気配がしました。 
             ウトウトしながらも、
             「娘か息子が寂しくなって入って来たのかしら・・・」そう思っていました。

             
「・・・おかあちゃん、おかあちゃん・・・」

             背後では、娘が小声で囁いています。
             私はウトウトしながら特に後ろも向かず、
             「どうしたの?眠れないの?こっちへいらっしゃい。」
             そう娘に話しかけると・・・・

             
「ウフフフ・・・クスクス・・・」

             という無邪気な笑い声と共に、娘はふざけてベッドの上に上がって来たのです。
             その瞬間、私は金縛りにあってしまいました。
             ベッドの上には、なんと、2〜3人の小さな子供達が、無邪気に飛び跳ねて遊び始める
             気配を感じたのです! その時やっと、さっきの声の主が娘ではないことに気づきました。
             私のからだは子供達に踏まれ、時には抱きつかれ、私は金縛りになりながらも困惑で
             いっぱいになりました。

             
「おかあちゃん・・・・ねえ、おかあちゃん・・・・ウフフ・・・アハハ・・・・」

            時折木霊する子供達の無邪気な声に耳鳴りを覚えながらも、金縛りが一刻も早く解ける
             よう、祈るような気持ちでお経を唱えていました。
             ふと突然金縛りは解け、すぐに上に乗って遊んでいた子供達の姿を見ようと起き上がり
             ましたが、子供達は既に消えてしまっていました・・・。
             ・・・・夢だったのかしら・・・・そう思いましたが、ベッドの上が金縛りで動けなかったにしては
             ひどく乱れていましたし、就寝時にはしっかりと閉じてあったはずの寝室のドアも、
             開いたままになっていました。
             ゆっくりと起き上がり、寝室のドアを閉めに行こうと歩きましたら、途中、何か柔らかいものが
             右足に当たり、ふと足元を見ると、それは何故かよく私のベッドの中から出てくる娘の
             ぬいぐるみでした。

             ・・・夜が明けてからもずっと、あの「おかあちゃん・・・」という声が耳に残っていました。 
             うちには何故か、子供の霊が多く遊びにきてしまいます。息子も霊感が強い方なので、
             公園等へ遊びに行くと、時折連れて帰ってくることもあるようです。
             しかし・・・「おかあちゃん・・・」というあの声がとてもリアルでどうしても耳から離れず、
             出張から帰った彼にそれとなくその夜の出来事を話してみました。
             「俺さ、そういうのってマリと知り合うまであまり信じなかったけど、マリと暮らすようになって
             なんとなくそういうこともあるのかな・・・なんて思うようになってきたんだよね・・・。
             もしかしたらそれ、水子の霊ってやつなんじゃないかな?」
             「そんな、まさか・・・」と、思いましたが、実際私は、息子が産まれる前までは、流産が
             数回続き、心拍動が見えていたのにもかかわらず、不意に流れてしまったという
             哀しい経験があるのです。(六十四卦の部屋の坎為水の卦のエッセイに詳しく書いてます
             あの頃はとても暗く、妊娠しては不安に思い、流産を経験しては悲むの繰り返しでした。
             しかし今は、二人の子供に恵まれ、あの頃の辛い記憶も薄れ、思い出さなくなって
             いたのです。
             「きっと、マリが今、幸せそうにやっているのを嬉しく思う反面、自分たちのことも
             たまには思い出して欲しいっていう願いもあるんじゃないのかな。だからいたずらしたり
             して気を引いていたのかもね。」
             
             ベッドでの一件があって以来、奇妙な出来事は起こらなくなりました。きっと、私の
             気持ちがあの子達に向いたからではないかと思います。お水とお菓子、そしてお気に入り
             のぬいぐるみをテーブルに置き、流産を繰り返した辛かった過去を振り返りながら、
             語りかけるように私の気持ちを伝えました。

             ベッドの上で無邪気に飛び跳ねながら時折木霊していた「おかあちゃん・・・」という声が
             いつまでもジンと心に染み渡り、思い起こす度切なさを感じています・・・・。

















 







        














































 

                    第四十二話 〜  吹雪の夜の怪    


               
・・・それは私が小学校3年生の頃のことでした。 一月の中頃、祖母の
               家へ泊まりに行った時のことです。 北海道は冬真っ只中。降り積もった
               雪で、木々は白と黒の線描のような枝を張り、一面淡彩画の世界でした。
               夜の八時にもなると、辺りは真っ暗になり、どこの家も戸締りをして、
               ストーブを囲み、私はお菓子を食べながら、縫い物をする祖母の横で、
               祖母がポツンポツンと話す色々な面白い話に耳を傾けていました。 
               ・・・その夜は祖母と私の二人きり。 私は祖母を独り占めした気分になり、
               とても嬉しかったのです。
               ・・・外はひどい吹雪。時折窓を激しくバタバタ叩きつける雪と共に、
               ヒュルルルルという物悲しげな風の音が聞こえてきます。
               「今夜はひどい吹雪だね。」
               と、私は祖母の話を遮ると、窓に目をやりました。
               「そうだね・・・明日は玄関の前の雪はね(雪掻き)が大変だろうね・・・。」
               と、祖母も針を動かす手を止めて、窓に目をやりました。
               その夜は9時過ぎに祖母と布団を並べて休みました。
               吹雪の音が耳につき、床が変わったということもあって、私はなかなか
               寝付けませんでした。 それでも数時間、ウトウトしたと思います。何時頃だった
               でしょう・・・、真夜中のことでした。トイレに行きたくなり、一人で行くのが怖かった
               ので、祖母を起こそうとしました。
               ・・・その時でした・・・。 音さえ凍てつくような外気を押し分けるようにして、
               なんと人の声らしきものが、遠くから微かに聞こえてくるのです。


              
「・・・・・助けてぇ〜〜〜〜〜・・・・助けてぇ〜〜〜〜〜・・・・」

               その声はか細く途切れ途切れに、しかし必死に叫んでいるようにも聞こえます。私は
               恐ろしくなり、すぐに枕元のランプに明かりを灯すと、

               「おばあちゃん、ねえ、起きて、おばあちゃん!外で誰かが叫んでるみたい。」
               と、祖母を起こしました。祖母はウトウトしながらも私の声に目を覚まし、耳を澄ませました。


              「・・・・・助けてぇ〜〜〜〜〜・・・・助けてぇ〜〜〜〜〜・・・・」

               
「・・・ほら、ね?聞こえたでしょ?」
               私が祖母の顔を覗き込むと、祖母の顔色が変わりました。
               「・・・もしかしたら・・・踏み切りかもしれないねぇ・・・・」
               祖母はそうつぶやくと、仏壇の前に置いてある数珠を持ってきて、手を合わせ始め
               ました。 私は嫌な予感がしました。祖母は私よりも霊感が強く、霊媒体質なのです。
               「踏切って?何?おばあちゃん、何か知ってるの?この声ってもしかして・・・」
               私は祖母に必死に尋ねました。
               「マリも手を合わせておきなさい。」
               祖母はそう静かに言うと、小声でお経を唱え始めました。
               ・・・少しすると、叫び声が聞こえなくなりました。 良かった・・・もう声がしない・・・ 
               ホッと胸を撫で下ろしたその瞬間、今度は吹雪の音に混じって、人が歩く音が聞こえて
               きたのです。
               雪国の人は聞き慣れた音ですが、雪の上を歩くと「キュッ、キュッ」と、音がし、これが
               結構響くのです。
               歩く音は、玄関の方から聞こえてきます。・・・しかも、玄関を開ける音もせず、雪の上
               を歩くような音は、玄関をすり抜け、なんと寝室へと向ってくるではありませんか!
               ゆっくりゆっくり、でも確かにこちらへ近づいて来ます・・・・
               私の顔からは血の気が失せて、恐怖心でいっぱいになりました。


               キュッ・・・キュッ・・・・キュッ・・・・キュッ・・・・・・

               
その足音は、私と祖母が寝ている寝室の障子の前で止まりました。
               恐る恐る、私は障子の方へ目をやってみると・・・そこには・・・
髪を垂らした女の人の
               シルエットが見えました・・・・
 その姿から、着物を着ているということがわかりました。
               私は全身が凍りつき、金縛りに合ったように動けなくなっていました。
               すると、私の横で手を合わせていた祖母が
               「・・・お寺さんから頂いたお札・・・・持っておいで・・・・」と、苦しそうに言っています。
               「・・・駄目、おばあちゃん、私動けないよ・・・・」
               私は半べそをかいて祖母に助けを求めましたが、
               「マリは大丈夫。おばあちゃんはあの女に入り込まれてしまったから、無理なんだよ」
               ・・・入り込まれた・・・? その言葉に呆然としつつも、何とかしなければと
               仏壇の部屋に置いてあるお札の所まで、重苦しい身体を引きずりながら、這うように
               してなんとか辿りつきました。
               「おばあちゃん、このお札で・・・・」と、祖母の方を振り向き、私はギョッとしました。
               祖母がいるはずの布団の上には、祖母ではなく、着物姿の血だらけの女性が
               恨めしそうにこちらを凝視しています。
               私は反射的にお札をその女性に向け
               「お願い、成仏してください!」と、心の中で必死に叫びました。
               
               ・・・どのくらい経ったのでしょうか・・・。気づくと私は祖母の横で眠っていました。
               「おばあちゃん、大丈夫???」
               私は目覚めると飛び起きて、祖母に抱きつきました。
               「大丈夫だよ。それより、マリも怖かったねぇ。」 祖母は私を抱きしめながら優しく
               宥めてくれました。

               ・・・あの女性は・・・どこからどうして来たのかは謎ですが、祖母曰く、もしかすると
               近くの踏み切りで列車にひかれた女性の霊では・・・とのことでした・・・。

               ・・・吹雪の夜を迎えると、私は今でもあのか細い叫び声と、ゆっくりと雪を踏む足音を
               鮮明に思い出してしまうのです・・・・・。

                                   



               
               
           



















































 


                      第四十三話 〜 電話ボックスの怪


                ・・・それはまだ、今のように携帯電話が普及していなかった頃、私が
                大学に入って間もない頃のことでした。
                親との約束で、一人暮らしをしたいのなら、最初の一年は大学の寮で
                生活するようにと言われていましたので、窮屈な寮生活を送っていました。
                部屋は二人部屋で、電話は共同のピンク電話が一階と二階に一台ずつ
                あるだけでしたので、いつも誰かが使っている状態だったのです。
                深夜、どうしても私は彼氏に話したいことがあり、電話を見に行くと、
                上の階も下の階もずっと使用中で、いつ話が終わるかわからない状態
                でした。 門限はとっくに済んでいる時間でしたが、いつものように部屋の
                窓から外へ抜け出し、近所の電話ボックスへと向いました。 しかし、
                その電話ボックスも、同じ寮生が使用中。 ・・・トホホと思い、100メートル
                程先にある、もう一つの電話ボックスへと向ったのです。

                つきあい始めたばかりだった私と彼は、時が経つのも忘れ、甘い会話に
                夢中になっていました。 
                ・・・しかし、そのうち受話器の向こうから彼の声に混じって、誰か別の人の
                声が聞こえてきたのです。 
                
                「ねえ、何か聞こえない?」
                「え?何が?何も聞こえないよ・・?」
                「・・・そう?何か雑音のような、話し声のような・・・。」
                「やだなぁ、気味の悪いこと言うなよ。混線してるんじゃないの?」
                「そうなのかなぁ・・・。そうね、混線してるのかしらね。」

                彼は全く気にも留めず、また甘い話に戻りましたが、私は怪しげな雑音や
                話し声が気になって、彼との話に集中できなくなってしまいました。
                不気味な雑音や話し声は、少しずつハッキリと聞こえてきます。
                それは何か、私に向って強く訴えているようにも聞こえました。
                私はそのうちどんどん異様な寒気に襲われ、電話ボックスの中に立って
                いられなくなりました。

                「・・・ごめん、なんだか急に体調が悪くなってきたみたい。また明日
                電話するわね。」
                「大丈夫?さっきまで元気だったのに・・・どうしたのかな?」
                「大丈夫。もう遅いし・・・そろそろ寮へ戻らないと・・・。じゃあね。」

                立っていられなくなった私は、そのまま受話器を置くと、その場にしゃがみ
                こんでしまいました。

                「・・・駄目だ・・・ヤバイ・・・早くここから出ないと・・・・」

                力を振り絞って立ち上がると、電話ボックスを出ようとしました。
                ・・・しかし、なんと、電話ボックスのドアが開かないのです!!!

                「・・・う、うそ・・・どうして??」

                私はパニックになり、必死で力いっぱいドアを叩いたり押したりしたのですが、
                ドアは頑として開きません。 私はどんどん恐怖心に襲われ、誰かに助けを
                求めようとしましたが、時計を覗くと深夜の2時。電話ボックスのそばを通り
                かかる人は誰もいませんでした。

                途方に暮れ、もう一度彼に電話してみようと受話器を取ろうとした時、突然

                
「リーーーーン  リーーーーン リーーーーン 」

                と、電話の音が鳴り響いたのです。

                「・・・何?これ・・・一体、誰から・・・?」

                私の恐怖心は次第に高まり、体がガクガク震えてきました。
                それでも私は勇気を出して、鉛のように重苦しくなった体を起こし、震える
                手で受話器を取ると、ゆっくりと耳に当ててみたのです。

                
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
                
                受話器の向こうはシーーンと静まり返っています。
                
                「・・・もしもし? もしもし? どなたですか?」

                恐る恐る確かめてみましたが、受話器の向こうはずっと静まり返ったままでした。
                ・・・しかし、よく聞いてみましたら、微かですが、何か、女性の咽ぶような泣き声が
                聞こえてきたのです。私は気味が悪くなり、受話器を置こうとすると、
                背後で電話ボックスを「コンコン」と、叩く音を耳にし、振り返って愕然としました。
                そこには・・・
 
                
恐ろしい形相の男性が、電話ボックスの外からこちらをジ〜ッと見ているのです!

                
きゃ〜〜〜〜〜!!!!
                
                恐ろしくなった私は腰を抜かし、その場にゆっくりと座り込んでしまいました。
                ・・・もう駄目だ・・・ 力が出ない・・・。 
                私はお財布の中からいざという時の小さなお守りを取り出すと、それをギュッと
                握り締め、心の中でお経を唱えました。
                ・・・どのくらい時間が経ったのかはわかりません。 気づくと私の体は嘘のように
                ス〜っと軽くなっていました・・・。

                次の日、寮生達に昨夜の不思議体験を話しましたら、その中の一人で、お姉さんも
                同じ大学を卒業している方が、驚いたようにこう話しました。

                「・・・やっぱりあれは、いわくつきの電話ボックスだったのね・・・。随分昔にね、
                あの辺りで殺人事件があったらしいのよ。 詳しいことは知らないんだけど・・・
                その後、霊を見たって人が後を絶たなくなって、最近やっと、そんな話も出なく
                なったらしいんだけどね・・・。」

                それを聞いた私以外の寮生も、恐ろしさで悲鳴を上げました。

                ・・・電話ボックスには、様々な情念が篭っているといいます・・・。
                最近は電話ボックスに入る事もなくなりましたが・・・・深夜の電話ボックスは
                時に奇妙な世界への扉となることも少なくないと思います。
                ・・・私はいつまでも・・・あの日見た男性の、何かを訴えようとしていたようにも
                見える、恐ろしくも冷たく悲しげな形相が、忘れられずにいるのです・・・。
                
                                                   












































































 

                       第四十四話 〜 無邪気な歌声 




              これは北海道へ帰省した際に体験した話です。
              夜、子供達が寝静まった後、祖母とゆっくり色々な話をしていた時のことでした。
              話題は専ら子供達の話になり、私は不思議体験の部屋の第四十一話でお話
              しました子供の霊についても祖母に話したのです。
              「・・・いつも連れて歩いているからね。それを忘れずにいなさいよ。」
              祖母は真顔で私にそう言いました。
              「やっぱり水子の霊なのかしら?私ね、今まで水子の霊には何となく否定的に
              思っていたのよ・・・。だって、この世に生まれてこなかったでしょう?」
              「・・・でもね、命には変わりないと思うんだよ。私にも経験があるからね。」
              「・・・そうなのかな・・・。」
              などと会話をしていた時、子供達が眠っている隣の部屋から突然

              
・・・ら〜ららら〜ら〜♪ ふ〜んふふ〜んふ〜ん♪
                         ・・・クスクス・・・アハハ・・・


               という、無邪気な子供の歌声がはっきりと聞こえてきたのです!

               「おばあちゃん、今の、聞こえた?」
               「・・・聞こえたよ、女の子の声だったね。」

               私はすぐに子供達が眠る部屋のふすまを開けてみました。 娘も息子も
               静かに熟睡していますし、あれは娘の声ではありませんでした。
               そう、もっと幼い・・・甘えたような・・・・

               
・・・・私もここにいるのよ・・・・ そう私に訴えかけていたのでしょうか?
               今でもあの歌声は耳に残っているのです・・・・。



























































 

                      第四十五話 〜 女湯の怪 



               それは友達3人と子連れで温泉へ行った時のことでした。
               和風な雰囲気が落ち着くその温泉旅館は、若い頃も仲良し3人で
               泊まったことのある懐かしい場所でした。
               まずは全員で温泉を楽しみ、その後楽しい宴となりました。
               素晴らしいご馳走と美酒に酔い、話に花が咲くこと数時間、気づけば夜の
               12時を過ぎていました。 慌てて子供達を寝かしつけ、大人3人もその後
               一時間程話の続きに盛り上がった後、お布団を並べて寝ることにしました。
               友達二人の寝息が聞こえ始めても、私はなかなか寝付けずにいました。
               もう一度、温泉へ入ってこようかしら・・・と思い、そっと寝床を
               抜け出すと、一人温泉へと向ったのです。
               温泉は私達が宿泊する下の階にありました。客室が続く廊下を一人
               静かに歩き、女湯の暖簾をくぐりました。
               誰もいない脱衣所に入り、服を脱ぎ、タオルを手に温泉に入って行きました。
               ・・・中に入ると、一番奥のシャワーが、何故か出しっぱなしになっていました。
               誰かが締め忘れて出たのかしら? そう思い、栓を締めに行ったのです。
               しかし、その数秒後、私の体は蒸し暑い湯気の立つ温泉の中にいるにも
               関わらずサ〜っと鳥肌が立ってきました。

               
・・・振り向くと、誰もいないと思っていた湯船に、女性が一人、背を向けて
               浸かっていたのです・・・。


               ・・・きっと私の勘違いだったんだわ・・・。誰もいないと思っていたけど、一人
               入っていたのね?シャワーももしかしたら、彼女が締め忘れたのかも
               しれないし・・・などと、私は恐怖心を抑え、そう思い直しました。
               しかし、私は湯船に入るのが怖くなって、出しっぱなしのシャワーを止めた後、
               その隣でシャワーを浴びたらすぐに温泉を出ようと思いました。 ・・・静かに
               シャワーを出し、浴びながらチラッと気になる背後を再度見ましたら・・・

               
なんと、一人しかいなかったはずの女性が数人に増えていたのです!

               私は愕然とし、シャワーを止めると、すぐに出口へ向いました・・・が・・・

               
・・・得体の知れない無数の影が、続々と温泉に入ってくる気配を感じ、
               なかなか出口へと進めなかったのです。


               「・・・このままではあの世へ引き込まれてしまうかもしれない・・・」

               私はできるだけ湯船を見ないようにして、やっとの思いで逃げるように脱衣所
               へ行くと、震える両手で濡れたまま浴衣を着ました。女湯の暖簾をくぐり出よう
               とした際、ヒンヤリと冷たい何かが私の右足首をヌルッと掴み、その拍子に
               転んでしまいました。 振り向いてはいけないと思いつつ、起き上がる際に
               恐る恐る背後へ目をやってみると・・・・
               
なんと、脱衣所には無数の足が見えたのです!

               恐怖のあまり声も失った状態で前を向き直すと、私は一目散で脱衣所を
               後にしました。

               ・・・・一体・・・・あれは何だったのでしょうか・・・・?

               部屋に戻り、びしょ濡れの髪をタオルで拭くと、何かに掴まれた右足首を触って
               みました・・・。何故か右足首だけが、不自然に冷たくなっていたのでした・・・。

                                        











               



                                     






































                     

                     第四十六話 〜  真夜中の昆虫採集 



               ・・・それは北海道に帰省中、従姉妹家族と山へキャンプに行った時の
               出来事です。子供達が楽しみにしていたクワガタやカブトムシは深夜沢山
               採れるということで、皆でその夜12時頃から昆虫採集に出る事に決まりました。
               私はあまり気がすすまなかったのですが、子供達は大喜びでしたし、
               一人テントに置き去りにされるのも恐かったので、しかたなしについて行く
               ことにしました。
               夜の12時過ぎに子供達を起こすと、全員で山奥へと入って行きました。 
               肌寒い山の中は木々が鬱蒼と生茂り、曇り空のせいか月明かりも届きません。
               私は懐中電灯をしっかりと握り締め、皆についていくのが精一杯でした。
               「ねえ、かーちゃん、ここで写真とってよ!」
               薄暗い中、息子は従姉妹の子供と並び、私にカメラを手渡しました。
               「・・・いやぁねぇ・・・、こんな暗いところで写真だなんて。」
               そう言いつつ、私はシャッターを切りました。
               遠くから「こっちの木で大きなクワガタが見つかったぞ〜!」
               と叫ぶ、従姉妹のご主人の声がしています。
               ガサガサと音をたてながら、雑木林の中、声のする方向へと進んで行きました。
               慣れない山道を歩いていると、突然キーンとした原因不明の強い耳鳴りに
               襲われ、私はその場で耳を塞ぐとしゃがみ込んでしまいました。
               「大丈夫?」
               先程息子と並んで写真を撮った従姉妹の子供が駆け寄ってきてくれました。
               「・・・うん・・・ちょっと耳鳴りがしただけ。すぐ行くわ。」
               そう言いながら立ち上がると、私はゆっくり歩き始めました。
               従姉妹の子供は安心し、息子の方へと走って行きました。
               すると息子が
               「いってぇ〜なぁ!なんでオレのこと叩くんだよ!」
               後頭部に手をやりながらそう叫び振り返っていました。
               「え〜?オレ何もしてないよ?」
               と、従姉妹の子は不思議そうにしています。
               「ウソつけ!今オレの頭叩いただろ?」
               「知らないよ、そんなの!」
               私は耳鳴りを堪えて駆け寄ると、二人の仲裁に入りました。
               するとその時、今度は激しい頭痛と寒気に襲われてしまったのです。
               頭が割れるように痛く、強烈な吐き気を感じました。
               私の異変に気づいた従姉妹たちが慌てて駆けつけ、急遽昆虫採集は中止にし、
               全員テントへと戻りました。

               ・・・数日後、北海道での写真ができあがり、一枚一枚チェックしていましたら、
               山で撮った息子と従姉妹の子供の写真が出てきました。 私はそれを見て
               愕然としました。
               息子と従姉妹の子の間に、よく見ると、
恨めしそうに痩せこけた不気味な男の姿
               のようなものがぼんやりと写っていたのです!しかもその男は、何となくこちらに
               手を伸ばしているように見えるのです!!

               すぐにK先生に連絡を入れ、相談しまたところ、私には手におえるような霊では
               ないかもしれないということでしたので、しっかりと写真を清めて頂くことにしました。

               ・・・とても気味が悪いので、写真のことは誰にも話していませんが、昆虫採集の
               際、山奥で私が感じた原因不明の激しい耳鳴りや頭痛、息子の頭を叩いた現象等は、
               もしかすると写真に写っていた不気味な男が関わっているのかもしれないと思うと
               背筋が冷たくなります・・・
               
                                     






























































 
 
                     第四十七話 〜 忍び寄る怪  


               北海道から帰って来た際に沢山の方々をお持ち帰りしてしまったのか、
               またはお盆の期間、あちこち出かけた際に寄り付かれてしまったのか、
               それともただの疲れなのか理由はわかりませんが、体調が何となく
               優れずにいました。最初は右肩が少し重かったり、背中に鈍い痛みを
               感じたりしていたのですが、気づけばかなり体が重苦しく、ダルい
               日々を送っていました。 できるだけ体を休めたり、その都度浄霊を
               していたものの、あまり効果も感じられず、自己流ではなくしっかりと
               浄霊して頂かなければと思っていました。
               しかし何かと雑事が多く、なかなかまとまった時間が作れず、重苦しい
               ダルさの中やり過ごしていました。

               そんなある夜のことでした。 なかなか寝付けずにいた私は寝苦しさの
               あまり、何度も起きては喉も渇いていないのにお水を飲んだりしていました。
               難しい易経の本を読みながら、やっとうとうとし出したのが夜中の2時過ぎの
               ことでした。 
               ・・・うつらうつら夢心地で、気持ちよ〜くなってきた時のことです・・・・

               
・・・不意に私の頭を、何かがゆっくりと跨いだような気配を感じたのです!

               
私はハッと飛び起き、目を擦りながら寝室を見渡しました。

               ・・・誰もいません・・・。

               隣では彼がスースー寝息を立てて眠っています。

               「・・・夢だったのかしら・・・それにしても、妙にリアルな感触だったわ・・・」

               気味が悪くゾッと寒気を感じましたが、よくある事ですし、できるだけ気にせず
               眠ろうと努力しました。 ・・・しかし、なかなか寝付けません。
               恐怖心がどんどん強くなりましたので、彼が眠る左側を向き、彼に抱きついて
               眠ることにしました。 ・・・数分その状態で眠る努力をしていたのですが、
               やはり何か、背を向けた背後に異様な冷たい気配を感じてしまうのです・・・
               その何かは、じわじわとこちらへと忍び寄ってくるような、恐怖心を煽る
               ような気配なのです・・・。

               
・・・駄目駄目、振り向いてはいけない・・・振り向いてはいけない・・・

               そう自分に言い聞かせながらも、背筋はゾクっと凍りつき、意識は背後に集中
               してしまいます。私は枕元に置いてあるレーザークリスタルにそっと手を伸ばすと、
               それをギュッと握り締め、思い切って振り向いたのです。

               ・・・振り向いた私はあまりの恐ろしさに息を呑みました・・・

               
不気味な黒い大きな影が、部屋の隅から少しずつこちらに向かい
               にじり寄ってきていたのです!

               
私はガクガク震えながらもレーザークリスタルの先端をを黒い影に向け、
               呪文を唱えながら、影を囲むように大きく四角形を作ると、いつもの
               ように真ん中から押し退けるよう、撥ね返してみました。
               ・・・数回それを繰り返すうち、黒い影は少しずつゆっくりと小さくなり、薄れて
               行きました・・・

               「・・・ああ、驚いた・・・一体あれは何だったんだろう?・・・コワイコワイ・・・」

               少しホッとした私は、黒い影を感じた部屋の隅を、御香やお塩で清めることに
               しました。 ・・・レーザークリスタルを右手に握り締めたままベッドから降りて、
               寝室を出ようとした際、

               
今度は突然背後から、何者かにベッタリと寄りかかられてしまったのです! 
               その何者かは私の喉元をドロリと冷たい何かで巻きつけ始め、私は次第に息が
               苦しくなってしまい、身動きが取れない状態になってしまいました。

               
・・・どうしよう・・・強すぎて撥ね退けられない・・・そう思いながらも、必死で
               握り締めたレーザークリスタルの先端を背後に向け、心の中で呪文を唱えました。

               「・・・大丈夫か?・・・」
               ・・・どのくらい時間が経過したのでしょう。彼に揺り起こされた私は、気づけば
               ベッドサイドに横たわっていたのです。 あの不思議な現象は一体何だったのか
               はわかりませんし、夢か現実かさえ区別がつきませんが、どうやら強烈な何者かは
               去って行ったようでした。
               「全く寝相が悪いなぁ・・・ベッドから落ちるなんて・・・」
               彼に苦笑され、抱き起こされると、激しい喉の渇きと息苦しさが私を襲いました。      
               「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ・・・・」
               「どうした?」
               「・・・お水、お水持ってきて・・・苦しい・・・」
               「わかった、すぐ持ってくる。」
               私の異変に気づいた彼は慌ててキッチンへと向いました。
               咽返りながら、右手に握り締めていたレーザークリスタルをふと見ると、なんと
               真ん中からバキンと割れてしまっていたのです・・・。
               やっぱり夢ではなかったのでしょうか・・・。

               夜が明けるとすぐに信頼のおける先生に連絡を取り、対処法を尋ねましたところ、
               かなり強い霊障のようなので、もしかすると四十六話の昆虫採集に書きました
               男性の念を強く受けてしまったのではという話になり、電話を切るとすぐ浄霊の為
               出かけたのです。

               ・・・幸いレーザークリスタルでの応急処置が良かったのか、速やかに浄霊が
               済みました・・・。

               ・・・今後は面倒がらずに、その都度しっかり丁寧に浄霊して行かなければと
               強く心に思いました・・・・。
                                    
               
              





















































 

                    第四十八話 〜 庭石につく霊         


                  私が小さい頃のことでした。祖母と叔母の家へ訪問した際、叔母の家の
                  門に置いてある石に何か模様がついているように見えたのがとても
                  気になり、確認の為にもう一度石を見に外へ出てみたのです。 
                  恐る恐る見てみると、その石には何か恨めしそうにも見える気持ちの悪い
                  顔が浮かんでいたので驚き、すぐ祖母にその事を伝えました。
                  祖母は私と一緒に門の前の石のところへ行くと、
                  「・・・馬鹿だねぇ、こんなものを置いてしまって。石に霊がついてしまってるよ。」
                  と、呟くように私にいいました。
                  その頃叔母は長い事体調を崩し、病院通いの毎日でした。
                  寝込んでしまっている叔母のお見舞いに、私は祖母に連れられ様子を
                  伺いに出かけたのです。

                  「この石のせいばかりではないと思うけど、あの子の体調の悪さは
                  これも関係してるかもしれないねぇ・・・。」

                  祖母はそういって叔母の元へ戻ると、叔父に門の前の石を何とかした方が
                  良いと、それとなく伝えました。

                  石には念が入りやすく、霊がつきやすいといいます。
                  昔なら辻斬りにあった人、現代でも行き倒れになった人が供養されず
                  放置されたままになったという場合、近くにある石についてしまうことが
                  あるらしいのです。
                  小さな石、御影石のように光る石は問題ないですし、全ての石に霊が
                  つくわけではないですが、どんなところから来た石なのかがわからない
                  庭石は置かない方が無難だと思います。 また、障りがあると感じた石は
                  速やかに処分した方が良いと思います。

                  一番良い方法は、知っているお寺に引き取ってもらう事です。お寺では
                  毎日お経をあげていますから、霊も鎮まり悪さができなくなるからです。
                  あるいは、自分で持ち運べれば、川原などで人の集まらないところに捨てて
                  きても良いと思います。 ただし、それでは別の人が石を拾って行く可能性
                  もありますので、やはりお寺に納める方法がベストかもしれません。

                  さて、気味の悪い顔が浮かんでいた石を、叔父は早速お寺に納めたの
                  ですが、その後不思議と少しずつ叔母の様態は快復しました。
                  霊現象を信じない叔母は 「きっと更年期障害だったのね。」と、笑って
                  いましたが、私は未だにあの苦渋に満ちた形相をして浮かんだ気味の悪い
                  顔が忘れられず、誰かの家にお邪魔する際は、庭石が置いてあると気に
                  なってつい注意して目をやってしまいます。

                  ・・・・貴方のお宅に、庭石はありますか・・・・? 石からのサイン・・・
                  見落としていませんか・・・・・?

                                        











                  
               












































 

                      第四十九話 〜 ある雨の日の怪  


                   女心と秋の空という言葉通り、午前中は爽やかな秋晴れだった
                   はずが、お昼頃から曇り出し、冷たい雨がシトシト降り始めました。
                   子供達が学校へ傘を持って行かなかったことに気づき、
                   下校時間を見計らって傘を届けに行きました。
                   ・・・雨はシトシト降り続けます。 ・・・シトシト・・・シトシト・・・・
                   そんな中、いつも子供達が利用している通学路を、私は一人歩いて
                   いました。
                   5分ほど歩いたでしょうか。学校まであともう少しというところで、
                   黄色い帽子に赤いランドセルの女の子が一人、傘もささずに前から
                   歩いてくるのが見えました。
                   ・・・おかしいわね、今日は一斉下校のはずだし、下校時間までまだ
                   30分以上もあるというのに・・・と、私は不思議に思いながら、前から
                   一人歩いてくる女の子の様子を伺っていました。
                   雨脚は徐々に強くなってきます。 女の子はびしょ濡れのまま、俯き
                   加減で歩いてきます。
                   女の子との距離が10mくらいになった頃でしょうか。 女の子は
                   ふと立ち止まり、俯いたままじっと立ち尽くしているのです。
                   私は少しずつ近寄ると、
                   「大丈夫?具合でも悪いの?おうちまで送ってあげましょうか?」
                   そう声をかけました。
                   しかし、女の子の反応はありません。
                   「雨も冷たいし、濡れると風邪を引いちゃうわ。」
                   そう言って女の子を私の傘に入れると、女の子は無言で私の後ろを
                   指差したのです。
                   指の差す方を振り向いてみましたが、特別何も変ったものは見えません。
                   「向こうに何かあるの?」
                   そう言いながら女の子の方を振り返ると・・・・

                   ・・・・なんと、女の子は忽然と消えていたのです・・・・・。

                   私は気味が悪くなり、早歩きで学校へと向いました。
                   無事子供達に傘を渡すと、
                   「かーちゃん、なんか顔色悪いぞ。大丈夫?」
                   と、息子に言われました。
                   「うん、何でもないわ。 ・・・たださっき、通学路を通って来たら
                   奇妙な女の子に会ってね・・・。」
                   「・・・もしかして、それ交差点の辺りだったとか?」
                   息子は意味深なことを言います。
                   「どうして?」
                   「通学路の途中にある信号のない交差点、事故が多いんだって。学校でも
                   噂されてるよ。交通事故に遭った子のオバケが出るって。 オレさ、
                   一回だけ学校の帰りに見たような気がする。そうだ、こんな雨の日だった
                   かもしれない・・・。」

                   ・・・息子の言葉にゾッとしました。 女の子が無言で指を差していた
                   方向に、信号のない交差点があったのです。 

                   ・・・薄暗いシトシト雨の日は、あの世との境目が曖昧になり、奇妙な
                   体験をし易いといいます・・・。 冷たい雨の日・・・一人ひとけのない道を
                   歩いていると・・・・ほら・・・あなたのすぐうしろに・・・・・・

                                          
                   
                   

                   
                   





                   


               
               

          






































 



                   第五十話 〜 纏わり憑く女の子  


                 
秋も深まり、日が落ちるのが早くなりましたね。・・・子供達の空手稽古は
                  夕方6時から8時頃迄になりますので、稽古場へ送る際でももう辺りは薄暗く
                  なっています。
                  ・・・今日も子供達を稽古場へ車で送り届け、一人家に向いました。
                  交差点で信号が赤になり、車を止めた時、ふと、背後に何か気配を感じたのす。 
                  ・・・嫌な予感がしましたが、勇気を出してバックミラーを覗き込み、後部座席を
                  確認してみました。 
                  ・・・特に変った様子はありません・・・。

                  「・・・やだわ・・・気のせいかしら・・・」

                  そう思い直した頃、信号が青に変ったので、少しずつアクセルを踏み始めました。
                  すると・・・

                 
                  
「・・・・ウフフ・・・アハハ・・・」

                  車を走らせてすぐに、後部から子供の笑い声が聞こえてきたのです。
                  ・・・やっぱりさっきの気配は・・・と、思いながら、恐る恐るバックミラーを再度
                  覗いてみると・・・

                  
・・・薄暗い後部座席の真ん中に、小さい女の子の姿がボンヤリと映って
                  いたのです!


                 
「・・・ウフフ・・・アハハ・・・」

                  
女の子は無邪気に笑いながらこちらをじっと見つめています。

                  私はできるだけ運転に神経を集中させ、なんとか無事家に辿り着くと、
                  いつものようにダイニングテーブルの上にお菓子とジュースを置き、静かに
                  話かけました。

                  「・・・お願い、運転中は危ないから、できるだけ姿を見せないで。そのかわり
                  こうしてお部屋にいる時は大丈夫だから・・・。ね?」

                  私が話しかけた途端、キッチンに置いてあった調味料の瓶が突然倒れ、
                  家中「ピシッ!ミシッ!」という、軋む音が鳴り響きました・・・。
                  
                  ・・・「無邪気な感触」「無邪気な歌声」などにも書いていますが、私や息子はよく、
                  この謎の女の子と遭遇するのです。霊感の強い友達などは「水子の霊かも」と
                  言うのですが、果たしてそうなのか如何かはよくわかりません。

                  わかっていることは・・・女の子はいつも楽しそうに笑っているということ・・・
                  時折イタズラはされますが、フレンドリーで、危害は加えてこないということ・・・
                  ・・・そして・・・長い事私に憑き纏っているということ・・・。
                  力のある先生も
                  「この子は駄目、お手上げよ。マリちゃんからなかなか離れようとしないの。
                  でもね、この子のお陰で知らない間に随分助けられてること、あると思うのよ。
                  時々思い出したら話しかけてあげて。寂しくなるとイタズラしに出てくると思うけど
                  大丈夫。マリちゃんをあの世に引き込もうとはしないから。」
                  と、おっしゃっていました。
                  
                  ・・・確かに・・・悪い霊と遭遇した時などは、奇跡的に撥ね退けられていた
                  ことがよくあります。息子が赤ちゃんの頃、原因不明の吐き気が続き、脱水症状
                  を起こして入院した時なども、息子のそばに時折現れていたのです。
                  ・・・女の子がどこの誰なのかはわかりませんが、今後はあまり怖がらず、できるだけ
                  仲良くして行けたら・・・と、思っています。(いつも突然現れるので恐いですけどね・・・)