・・・・マリア的感情論 ・・・・







落ち込んだ時は
静かに目を伏せ
少しずつ少しずつ
深いところへ降りて行き
無数の記憶の扉の中から
貴方の名前をみつけ出すと
その扉をそっと開けてみる

さまざまな出来事が
美しく輝き
お気に入りのシーンを
何度も巻き戻しては
幸せに浸る

沈んでしまった心を
回復させる
私だけの
ヒーリングマジック
貴方に愛されたのだという自信が
私に勇気を与えてくれるの
(2001/8/29)







できることなら
このままこうして
夢見るように忘れてしまいたい
この心と共に
奥底まで
深く深く

何故こんなにも
もがき苦しむほど
欲しいのかしら
誤算だわ
いくら与えられても
飢餓状態

溜息までをも
むさぼり尽くし
底無しに糧を求め
怖いほど
貪欲になっていく

わかっているわ
求めるばかりの
愚かな愛よ
魅入られて
甚振られるままに
髪を引きずられ
まっさかさまに
落ちて行くの

心が夢の中へ
深く深く
消えてしまったわ
ヘネシーを片手に
独り言
そんな私の背中をなぞり
夢の続きがまた始まるのね
(2001/8/28)







肌を触れ合う悦びに浸るほど
心の触れ合いが遠のいて行くようで
苦しくなるわ
泣きたくなるわ
不安の波が激しくうねる度
熱い吐息が妖しく滴る
もう、こうすることでしか
愛を確かめ合う術はない
愛が何なのかすら
わからなくなってきたわ
(2001/8/23)







指先が優しく肌をなぞり
少しずつ傷跡を癒す
滑らかに頬を伝い
唇に触れた時
親指をそっと噛んだ

言葉を脱ぎ捨て
貴方の前では
幼子に戻り
抱かれたまま
溶けるようにまどろむ

陽炎に揺らめき
揺り篭の中
解き明かせない
夢の続き
それは晩夏の幻

記憶を失うほどの
快楽に蝕まれ
それでも私は
惜しみなく身を投げ出し
戯れ続ける
(2001/8/21)











真夜中
ふと目覚め
貴方の寝息を背中で確認すると
安心し
再び眠りにつく
(2001/8/21)











そうやってまた
ぎりぎりのところまで私を追い詰め
お決まりのように
そっと手を伸ばすのね
そんな子供騙しの汚いやり口
もう古いのよ

昨日までの私は
奴隷のように怯えながら
貴方に助けを乞い
しがみついたわ
でも今日の私は
少し違うの

恐れることなど何もない
突き落とせるものならやるがいいわ
そんな勇気もないくせに
嘲笑う私の視線に
うろたえる貴方
何て滑稽なのかしら

今までこんな小さな男に
振り回されていただなんて
おかしくて笑いが止まらない
でも私は貴方じゃないから
過去を返せなど
せこいことは要求しないわ

タイミング良く
携帯の着信音が鳴り響く
「・・うん。すぐに行くわ。私もよ。愛してる・・」
愕然とする貴方をバッサリと切り捨て
視線も合わせず
私はその場を去った
(2001/8/18)











テーブル越しに
伸ばした指先で
唇の下に
付いたソースを
そっと拭ってくれる貴方
そんな何気ない
日常の流れにさえ
心ときめくの

コーヒーを片手に
貴方の膝に座り
ぼんやりと
テレビの画面を眺め
ゆっくりとした
時の流れが
愛しく過ぎる
休日の朝

洗ったばかりの髪が
柔らかい風に吹かれ
貴方の香りと溶け合い
心地よい空気が漂う
「ねえ、私のこと・・・」
そう言いかけた私の口に
貴方はバターたっぷりの
パンの欠片を放り込んだ
(2001/8/16)







ねえ、貴方
お願いよ
散りぎわを
綺麗に裏切って

毅然と
凛と振舞うこの姿は
貴方への
最後の贈り物

ねえ、貴方
お願いよ
最後くらい
格好つけさせて
2001/8/14)







分かってるわ
貴方は私を喜ばせるため
そうやっていつの時も
もっともらしい嘘をつくのよ
でもね、そろそろ騙される振りも
疲れてきちゃったわ

貴方に買ってもらった
真っ赤な花柄の
サテンのスカートの裾の解れが
風に小さく揺れる姿を
じっと眺めながら私は
貴方の膝に手を置いた

「楽しみにしてるわ、来週の旅行」
計画倒れになると知りつつ
唇を微かに重ね合わせた
貴方は優しく微笑むと
私の髪を軽く撫で
切ない瞳を遠くに向ける

貴方の車が去った後
部屋に戻って無造作にスカートを脱ぎ
赤い糸の解れを繕うことなく
ごみ箱に放り投げた
引っ越そう
そう思った
(2001/8/13)







間違いない
貴方だわ
その肌を刺すような声
時折立てる咳払いの癖
まさかこんな所で
再会するだなんて

和やかな雰囲気に包まれ
お酒に酔う貴方が
ふと、口を閉ざした
きっと貴方も
カウンターの中の
私の姿に気づいたのね

貴方が歩み寄ってくる
私は気づかぬ振りをする
心臓が張り裂けそう
立ち眩んで倒れそう
私は伏目がちに
お客の話に相槌をうつ

貴方が私の名前を呼ぶ
私は気づかぬ振りを続ける
ママが咄嗟に状況を判断し
私を彼の前に立たせる
無言でお酒を作る私
貴方の視線に焦がされそう

貴方は私の右手を取り
そして強く握り
蹲るように唇をつけた
胸がジワっと熱くなり
心の氷が一気に溶け
伏せた私の瞳から涙が零れた

「・・・やっと見つけたよ・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・どうしても会いたかったんだ。」
「・・・・・・・・」
「随分探したんだぞ・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・もし、まだこんな俺に、少しでも気持ちが残っているのなら
ここに電話をくれないか。」

貴方は私に名刺を渡すと
水割りを飲み干し
静かに席を立ち
店を後にした

呆然と立ち尽くす私
ただ、涙ばかりが溢れて止まらない

ママが一言囁いた
「行ってらっしゃい」

私は無我夢中で
店を飛び出した
2年ぶりに
貴方の名前を大声で叫びながら
(2001/8/12)







何故かしら
この余裕
振り向きもせず
煙草に火をつけ
煙を吐いた

「それがお前の答えかよ?!」
劈くように震える声
動じぬ私
時は黄昏
頃は晩夏

「苦しみも哀しみも憤りも
峠を越すと
何も感じなくなるものね」
薄笑いさえ浮かべながら
煙草の火をジュッと揉み消した

「勝手にしろ!」
捨て台詞と共に
貴方はやっと消え去った
暮れ行く日を眺めながら
また煙草に火をつけた
(2001/8/10)







時々間違って
あの人の名前を
呼びそうになり
慌てて口を噤む

時々間違って
あの人の好みに
お茶を淹れそうになり
慌てて淹れ直す

長いこと沁みついた癖は
体の一部となり
いつまでもいつまでも
私を責め続ける
(2001/8/7)







そんな目で
私を見ないで
ずるい人ね
お手上げだわ

別れ話を
切り出す度
心の裾を
撃ち抜かれ

魂がまた
触れ合ってしまう
遣り切れぬ安堵感
砕け散る過去

貴方はそうやって
射程距離から
意のままに
私を撃ち落し続けるのね
(2001/8/6)







情けないほど
未練がましく
泣き叫び
縋る私

やせ我慢する
術も忘れ
止めど無く溢れ出る
醜い言葉

激しく押し寄せる
絶望感
愚かしくも深い
焦燥感

切り札は全て
使い果たし
どんどん醜い
女と化し

心暴れる
私を置いて
哀れむことなく
貴方は去った
(2001/8/4)







このせつなさも
寂しさも
涙さえも
夜更けのせいだと
思ってた
蒼褪めた孤独を
見透かすように
月明かりが
やけに眩しくて

そう
今頃貴方は
あの女と一緒
また今夜も
霧のように
ベッドを擦り抜け
音もなく消えた
見知らぬ顔で
背を向ける私

これ以上
ぐずつけない
私の心
涙が似合う女には
なりきれない
ベッドサイドに
薬指のリングを外し
後はこの紙に
貴方がサインするだけ

good luck私
今泣いたら負けよ
我慢我慢
数ヶ月前から
この日の為に
纏めてあった
バッグを握り
振り向かないで
ドアを閉めるのよ
(2001/8/3)







日傘の下
目を細め
一夏前の
青さを懐かしみ
心地よく響く
貴方の言葉

「やり直さないか?」

傷ついて
罪深くて
それでもまだ
こんなにも愛しい
くぐもる声が
木霊する

「・・・ごめんなさいね・・・」

砕け散った夢
あの頃の痛み
カタチを変えて
再び手に入れるだけ
だからもう
戻れない

「・・・そうか・・・」

日傘の下
目を細め
貴方を仰いだ
汗を拭いながら
私に見せた
はじめての涙
(2001/7/31)







憤りを感じるほど
思い上がってはいないわ
裏切りと言えるほど
愛されていないし
それとも貴方
責めて欲しい?
許して欲しい?
修羅場に酔いたい?

これでも私
学習したわ
無駄なエネルギーを
使いたくないだけ
悪いわね
期待に添えなくて
それより早く
キスを頂戴
(2001/7/31)







俺があげた
エルメスのケリー
どこへやった?

俺があげた
ブルガリの時計
どこへやった?

お前はいつも
奪うばかり
ノートパソコンも
DVDも
昔の女の写真すら

あげられるものは
もう何一つ残ってないよ
過去の風景や
未来の夢まで
全てあげてしまったんだから

俺があげた
お前への思い
どこへやった?

俺の心
どこへやった?
(2001/7/31)







名残惜しげに
唇に触れながら
涙で滲んだ言葉は
セピアの吐息と化す
今頃になって
貴方がとても
愛しい

抱きしめる腕を
千切れるように払い退け
逃げるように
愛を捨てた
私なんて
その程度の女
(2001/7/29)







残念ね
一週間早くに
その言葉を聞きたかったわ
今の私は
もう戻れない

いつもの私は
ここで貴方を受け入れていた
でも今回は違うの
今の私は
別の人の舟の中

そんな哀しい顔を見せないで
貴方なら大丈夫
今までのようにまた
心ときめく恋の道を
器用に見つけられるはず
(2001/7/28)







貴方の匂いが少しずつ
私の体に沁みついて
いつしか真綿のように
ゆっくり包みながら
ジワジワ心を絞める

今夜は来るのか来ないのか
扉にもたれかかり
ワイン片手に貴方を待つ
言葉全てに惑わされ
眠れぬ夜を繰り返す

ときめきと引き換え
毒に酔いしれ
約束は愚かな幻
震える吐息
諦めの鼓動

寂しさを飲干し
夢とうつつ
選んだのは私
傷つくのも私
この毒に酔い潰されるまで
(2001/7/27)







ごめんね
悲しくて泣いてるわけではないのよ
この涙はきっと
深いリラクゼーション
貴方に出会えて
本当に良かった
上手なセリフが出てこなくて
本当にごめんね

季節はもう夏
永すぎた春に終止符を打つには
絶好の時
出口が塞がれたまま
エネルギーを費やせるほど
もう若くはないわ
貴方の心の海に
浮かぶ孤島
見知らぬ花が咲いた
このきっかけを
待っていたの

自由を愛し
束縛を嫌う
そんな貴方を
愛していたはず
今でも心から
愛しているわ
いつの頃からか
擦違いが生じたけど
愛しすぎると
女は臆病になるものなの

ごめんね
この涙の理由は悲しみではないの
上手く説明できないけど
安堵にも似た感情
貴方への感謝の気持ち
貴方に出会えて
本当に良かった
上手なセリフが出てこなくて
本当にごめんね
(2001/7/24)







不思議ね
噂を耳にした時
すぐに彼女が浮かんだわ
貴方が陰で
会ってる女

親友だから安心していた
愚痴や悩みも吐き出してた
その隙を
まんまと突かれたわけね

安心して
彼女を責めたりしないから
その代わり
気づかぬ振りを続けるわ
いつも通りの朝が来るだけ

恋にルールや秩序ががないのなら
私は私のやり方で
汚いと思われようが構わない
何も知らぬ素振りを演じ
貴方をしたたかに繋ぎとめる

悪いけど私
こんなカタチで貴方を彼女に
渡せるようなお人好しじゃないのよ
彼女だけには絶対に
渡すわけにはいかないの
(2001/7/24)







涙さえまだ
消えないうちに
優しくしないで
抱きしめないで

震えながらはずす
薬指のリング
早過ぎる結末に
心惑わされ

引き止めないで
これ以上
未練を蹴散らし
背伸びする

本心は
互いに見えぬまま
私はもう
誰の女でもなくなるの
(2001/7/22)







「心配しなくて大丈夫よ」

関係は終っても

私さえ
忘れなければいいの

貴方は少し
安堵の表情で
時計を探す

その人とは
何時に待ち合わせているの?
(2001/7/20)







最後にくれた
罪滅ぼしのくちづけが
今頃になって
効いてきた
(2001/7/20)







やがて風は
狂おしい日々を
一瞬にして
根こそぎさらう
呆気なく舞い散る
儚い夢

消え惑った過去の風が
色を失い空の彼方
また独り
空を見上げ
風の音に振り向いては
虚しさを覚える
(2001/7/20)







想い出に心を散々もてあそばれ
両手いっぱいに抱え込む苦い束
きっと私はただ
償いが欲しいだけ

はらはら零れ落ちる月の雫を掻き集め
無理矢理傷口に擦り込んでも
きっと私はまだ
明日を手に入れることができない

過去という幻に心を散々惑わされ
飢えをしのぐ為浅みに溺れ行く
きっと私はもう
荒れ果てた楽園から逃れられない
(2001/7/19)





輝いていたはずの
言葉の数々が
一つ一つ使い古され
空風に失せる

眠れぬ夜
温もりもなく
冷たい背中を
そっとなぞった

春と夏を過ぎ
その先は見えない
途切れ途切れに
口ずさむ愛の唄

月に涙をおしあて
心引き千切る
かすれた声が消えるまで
口ずさむ愛の唄
(2001/7/17)










夜風は媚薬


幻想の月灯りが
瞳にすべりこむ
私がほどけていく
波打つ心の果て

夜風は媚薬
迷い疼き
飲干した後
心をぬぐう

ゆらめく月灯りが
青く滲む
抱きしめて貴方
熱い所へさらって行って

夜風は媚薬
騒ぎ狂い
飲干した後
吸い込まれる

届かぬ祈り
途切れる思い
見透かすように
月灯りは妖しく光る
(2001/7/16)







果てしなく続く空に
凍えた心をすべて溶かせたなら
灼熱の太陽に
焼け爛れても構わない

人を憎み、誰かを傷つけてしまった後に
心は何処へ行けばいい?
大切な言葉はいつの時も喉元に詰り
壊れそうな心に埋もれてしまう

愛はいつの時も
痛みの側にある
熱風が吹き荒れ
向日葵が揺れた

心の奥底を潤す言葉は
この世にはまだ存在しない
ただ誰かを愛し
季節が巡る

熱風が吹き荒れ
行くあてのない心をさらう
色を失った虹のように
心がふっと消え去った夏の日
(2001/7/11)











重い扉の向こうには
きっと何かがあるはず
最後の冬の雨に打たれ
陽だまりを探そう
たとえ今日という日が頼りなくても
心配はいらない
心が逃げ出さぬよう
強く抱きしめながら
明日はきっと晴れるはず
(2001/7/11)











またひとつ
あやまちを繰り返す
星空の下

恋と夢をすりかえ
愛し尽くすのを恐れ 出し惜しみしながら
夜風に吹かれる

気まぐれな分だけ
派手に絡み合う
貴方の香りが項にうつった

ひとときの夢に抱かれ
幻想の輝きに身を投げる
弱い罪人

ああ、恋は女を
こうも激しく変えてしまうものなのか
深い溜息が 夜を閉ざした
(2001/7/9)








あきらめて
あきらめきれず
傷をなぞる

憎しみながら
憎みきれず
信じてしまう

不安な時を重ね
悔やみながらも
夜は更けていく

妬みながら
震えながら
定まらない覚悟
(2001/7/9)












眩惑


むせ返るような 熱い風に戯れ
貴方の腕の中
「私のこと愛してる?」
汗ばむ背中に爪を立てて聞いた

胸が騒ぐ
包み込まれて
陽炎にゆらめき
溶ける心

壊れていく
駄目になりそう
でも離れられない
貴方の腕の中

儚いものを 宝箱にしまい
熱い風に吹かれ まどろむ
真夏の夜に 心はいま何処へ
夢の中で 花弁が舞った
(2001/7/6)








貴方と同じ車を見かけた時
やっと消えかけていた思いが
再び色濃く心を突き刺した
(2001/7/3)








[「ごめん、今、会議中でさ。終わったらこっちからかけ直すから。」
本当に会議中なんだと信じるバカな私
(2001/7/3)








せめて占いくらい
私の味方になってよね・・・・
愛されるより愛したい
そんなの嘘よ
同じくらい愛してよ
未来の私 教えてよ
もっといい男が見つかるって

この際洗い浚い言って下さい
耳を塞いでいますから
(2001/7/2)






うやむやにしてしまうことで
かろうじて繋ぎとめられる
明日はきっと
また何事も無かったかのように
微笑むのね、貴方
(2001/7/2)







藁をも掴む思いで這い出ようとするのだけど
水面から伸びる貴方の指に絡まり
ずるずる引き戻される体
遠く走り去る勇気
愚かにもまた貴方に寄り添い
ほんの一寸の夢に生きる
(2001/7/1)

                                                

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