・・・・マリア的感情論 ・・・・






「再会」T


雪色に変わってゆく アナーバーのダウンタウン
偶然ショッピングバッグを両手いっぱい抱えた君を見た
ショッピングバッグを車において
長い髪をかきあげながらふと何気に後ろを振り向き
そしてやっと君も僕の存在に気付いた
ゆっくりと、この僕を思い出し
それを確信すると、君は目を大きくあけて、笑顔で寄ってきた
僕たちは、すぐそばのスターバックスへ入り
あの頃のように、カプチーノとベーグルをオーダーした
彼女は医者と結婚し
2人の子供の母親となり
下の子供をこれから幼稚園へ迎えに行く所だった
笑顔で今の幸せぶりを話す彼女を
複雑な気持ちで暖かく見ていた
僕はといえば、相変わらず
あの頃と、ちっとも変わってない
カプチーノが空になった
もう行かなきゃと、彼女は呟く
あの日、君に「ごめん」と言ってたら
その一言が言えてたら
君はきっと、その変わらぬ笑顔で許してくれてたのだろう
マホガニー色のスエードのジャケットを羽織ると
せつない香りだけを僕に残し
君はダウンタウンから消えていった
外は冷たい雪が音もなく降っていた
(2000/1/26)






「再会」U


雪色に変わってゆくアナーバーのダウンタウン
新しくできたレストランの前で、偶然貴方を見た
確か3年前、同じ場所で貴方と再会した
その頃には無かった優しい笑顔が貴方にあった
横には可愛い女性が幸せそうに笑っていた
貴方は遠くから見つめる私に気づき
閑かに微笑むと、懐かしい笑顔で寄ってきた
イタリアンレストラン マジアーノ
今、彼はこのお店の店長
昔からの夢、希望、
貴方はやっと手に入れた
いやいや、まだまだだよ・・・これからさ・・・
彼は嬉しそうに微笑む
彼女がカプチーノとベーグルをテーブルに置く
そして彼女が閑かにキッチンへ去ってゆくと
私はすかさず小声で、「奥様?」と、訪ねた
彼は顔をまっ赤にして、「怖くてまだプロポーズもしてないよ」
そう言って彼女の後ろ姿を見つめる
私はといえば、 いつもと同じ
裏切られて、傷ついて、でも、傷つかないふりをして
その繰り返し
カプチーノが空になった
「そろそろ夕食時だろ?子供達がお腹空かして待ってるよ。」
「そうね。 もうじき6時ね。」
「今度、家族を連れておいでよ。ごちそうするからさ。」
「ありがとう。」
去年、貴方と再会してたら
去年、私が夫と別れた事を貴方が知ってたら
・・・そんなバカなことを考えるのはよそう
もう二度と、このお店には来ちゃいけない、来ちゃいけない
「元気でね。 お幸せに。」
そう言い残すと、暖かいコーヒーの香りのお店を後にした
涙がどんどんこみ上げてくる
外は冷たい雪が音もなく降り続く
(2000/1/29)






「再会」V


雪色に変わって行くアナーバーのダウンタウン
偶然ベンチに腰掛けている君を見た
もう、何年になるだろう
君を最後に見てから
懐かしさと嬉しさとから、自然と僕の身体は君の方へ
そして次第に近づいて行く僕の姿を君は遠い目で見つめる
「久しぶりだね。 覚えているかい?」
彼女は僕の声を聞いた瞬間、ハッと大きな目を見開き
「貴方、 貴方なの?」そう小声でささやき、両手を伸ばす
「ごめんなさい。 今は視力がほとんど無くて・・」
「一人なの?」
「息子に連れ出されたのよ。 家にばかり閉じこもってるのは
良くないからって。」
美しい君の笑顔はちっとも昔と変わらない
僕を包み込むような優しい声も
懐かしい香りもそのままだ
「30年くらい経つかしら。」
「最後に会ってから?」
「ええ。 貴方のレストランで。そうそう、 彼女は元気?」
「・・・ああ・・・あの子とは結局縁がなかったよ。 君の方は?」
「・・・ずいぶん前に離婚したわ。」
「・・・・・」
君も僕も、すっかり年を取ってしまったが、
不思議と僕の気持ちはあの頃のままだ
そう、一番輝いていた、あの頃のままだ
「私、すっかりおばあちゃんになっちゃったわ。」
「僕だって何処から見てもおじいちゃんさ。」
彼女の息子がコートの専門店から出てくる
「お母さんをちょっとだけお借りしていいかな。」
息子は彼女と同じ笑顔でニッコリ微笑み
「30分だけですよ。」 そういって、右手を差し出す。
息子と握手を交わすと、 側のスターバックスへ入り
あの頃のように、カプチーノとベーグルをオーダーした
クリスマスソングが鳴り響く店内
大きく飾られたツリー
ふと外を見ると、雪がチラチラ降り始めていた
今日見る雪は、何故かとても暖かく感じた
(2000/2/2)






偽り


前の彼女の呪縛に囚われすぎてたわ
貴方、言ってたわね
彼女は何でもしてくれたって
私も努力してみたけど
もううんざり
このままでは自分を見失う
全てあげることなんかできないわ
私が私じゃなくなってしまうから

貴方は絶対折れない人
だから貴方は貴方の道を行けばいい
私も一人で歩くから
愛してるけど
こんな生き方私には無理

愛に溺れ
光も見えなくなり
何度も泣き叫び
魂を失い
日に日に薄れていく私

教えて
どうして怒らせてしまったの
前の彼女の型に嵌めようとした貴方
理由などもういらない
今度こそ自由になって
私は私を見つけるわ
(2001/3/19)







宝物


休日の遅い朝
君の香りで目が覚める
すぐ横には花柄スリップ姿の君
化粧ポーチをひっくり返し
手鏡を枕に立てかけ
慎重にマスカラを塗っている
このひとときが、たまらなく僕は好きだ
目覚めれば、僕の横に、君がいる
当たり前のように、 君がいる
クリーム色したその唇が
ボルドーに染まるまで
このひとときを楽しもう
(1999/2/4)






舞台


休日の遅い朝
私はいつも気づいてるの
貴方が眠ったふりして私をそっと見てる事
花柄スリップも
お化粧も香水も
そのためのさりげない小道具
私は気づかぬふりをして
精一杯、貴方の前では可愛い女を演じるの
だって、こんなにも貴方を愛しているんですもの
いつまでもずっと、愛する貴方に見られ続けていたいから
精一杯、貴方の前では可愛い女を演じるの
いつまでもずっと、私だけを見ていて欲しいから
(1999/2/5)






隙間


かすかな光が僕の目を覚ます
あれからどれくらい眠っていたのだろう
どしゃ降りの雨の中
傘もささず、ずぶ濡れで
かわすキスの味
震えるような甘い夢
愛してる 愛してる 愛してる
君はシャワーを浴びた後
小さくカタカタ音を立て
念入りに今夜の準備
バスルームのドアがほんの少しだけ開き
そこからかすかに西日がもれる
隙間から見える眩しい光のシルエットは
降りて来たての美しい天使
ああ、こんなにも愛しい
僕だけの天使
零れる甘い香りに酔いしれ
僕はまた静かに目を閉じた
(1999/2/22)






別れ


無理な御願いだったね
でもこれで目が覚めた
結局君は僕に合わせてくれていただけ
ただそれだけ
何も求めず
何も語らず
ただ僕の側で微笑んでくれていただけ

ラブソングのような恋愛ができるかもなんて
勝手に僕は想像してた
きっと君を幸せにする
そう胸に誓っていた
それは一時の夢物語
君は来ない

何度も振り返りながら
僕は一人
列車に乗った
(1999/6/29)






復讐


貴方は突然私を捨てた
ずっと信じてたのに
泣き叫びすがる私を
貴方は勝ち誇った薄笑いを浮かべ
「うざってえ女」 と、独り言

一度捨てた女が
美しく輝いて見える時が必ず来る
それが今
そう、この一瞬

私はあれからずっと
理解ある女を演じ
貴方にまだ気がある事をほのめかし
エステやジムに通い、ファッションを華やかに変え
裏では新しい女と別れさせる細工をし
そして貴方は私の元へとあっさり戻るの

復讐は女を美しくさせる
「うざってえ男」
それが貴方への最後の捨てセリフ
(1999/4/14)






ある女同士の会話 T


「ずっと憧れてたのにさ、岸本さんのこと。」
「岸本さんって、あの仕事ができて知的でクールな女子社員の憧れの的の?」
「・・・・聞いてくれる? やっとこないだ飲み会で話すチャンスがあったのよ。」
「うん、で?」
「想像どおりの魅力的な物腰で、私のハートはいちころよ。」
「で? なによ。 まさか、遊ばれちゃったとか?」
「・・・・それならまだいいわよ。 でね、私、とりあえずメールアドレス交換したの。」
「すごいじゃん! 岸本さん、教えてくれたんだ?」
「・・・でさ、昨夜岸本からメールがあったんだ。」
「・・・すでに呼び捨てか?」
「その内容ってのがさ・・・・

〜 ゆかぴょんへ♪
             やっほー!! 岸本でーすv(=∩_∩=)
             飲み会楽しかったね。
             今度はゆかぴょんと二人キリで飲みたいな。
          (((o(^。^")o)))ワクワク 〜

「ブハハハハハハ!!!!!信じられない! で? 」
「キモイからすぐ削除しちゃった。 あ〜あ。。なんだかなあ。」
「ご愁傷様。 じゃ、女二人で寂しくカラオケでも行くか?!」
「オー!」
(2000/7/20)






ある女同士の会話U


「ねえ?」
「ん??」
「私って、綺麗?」
「。。。。どしたの急に?!」
「。。。これでもさ、昔はよく言われたものよ。綺麗だねって。」
「そりゃ碧は元スッチーだし、今だってマダムしてるじゃん? とても2児の母には見えないって。よっ!カリスマ主婦!」
「。。。その主婦って響きよ。。どうも好きになれない。」
「仕方がないわよ、私たちは主婦なんだから。」
「主婦になった途端、モテなくなったわ。美しさをキープする努力してるのよ、これでも。」
「。。。ステキなご主人様が聞いたら怒るわよ。」
「ふん、あんなの。。。ただのわがままジジイだわよ。」
「おお怖い! 大恋愛の結婚の末がこれか?!」
「釣った魚に餌やらないって典型的な人。」
「餌なら沢山貰ってるじゃないのよ? そのブルガリの時計にテイファニーのジュエリー。海外出張のたび買ってきてくれるんでしょ?
羨ましいよ。 私なんか何時だろ、最後に何か貰ったの。そういうの、贅沢病って言うのよ。」
「贅沢なんかじゃないんだけどな。。あ、欲しかったらこれあげるわ。」
「え? 良いの? 真面目に貰っちゃうよ? ブルガリ。」
「。。。。私が欲しいのはね、こんなガラクタなんかじゃないのよ。。。 たった一言でいいわ、気持ちを込めて言って欲しいの。
綺麗だよって。。。」
「私はそんなチンケなセリフよりこっちのアクセサリーの方が魅力的なんだな。」
「。。。最近ね、ふと、不安になるの。 30女の焦りなのかな。
女としての賞味期限、そろそろ切れる頃なんじゃないかとかね。。」
「さっきから聞いてたら、碧、危ないよ。だめよお? 賞味期限試そうなんて変な気起こしちゃ。」
「ふふふ、わかってるって。。。 あ、そろそろ幼稚園お迎えの時間ね?」
「え??もうそんな時間? 今日って終業式だったね? 明日から地獄の夏休みだあ?!どうしよう?」
「ってことは賞味期限試してる暇なんかなさそうね。子供に救われたわ。目が覚めた。」
「そうそう。 現実の幸せを見つめよう!」
「さ、出ようか?」
「そだね。。。。あ、碧?」
「え?」
「言い忘れたけど、碧、あなたとても綺麗よ。女の私が妬けちゃうくらいね。」
「ありがとう。」
(2000/7/21)






リセット


なんていやなヤツになってしまったんだろう
何でも甘えて人のせいにする
わがまま、傲慢、冷淡な表情
「もうたくさんだよ」
芝居がかった安いセリフ
屈辱的なことばかり何度も何度も言われたわ
どうして私は我慢しちゃうんだろう
言い返したこともあるけど
そのたびに
「酷い事言うじゃんよお(涙)
アン時も俺のことめちゃめちゃ言ったじゃんよお(泣)」
ねちねち恨みごとを言われるから
情けなくなっちゃう
結局私が悪かったんだ
また人選ミスだわ
だめだこりゃ
Game Over
(2000/6/9)









懐かしく雄大な景色は
帰るたび私を暖かく迎えてくれる
風の香りや澄んだ空
果てしなくつづく丘
どこからともなく時折耳にする鳥たちの美しい囀り
いつもの丘の上に立ってみる
そしていつものように両手を広げ、北の大地を抱きしめる
そのまま静かに後ろに倒れ
大の字になり土の匂いを感じる
誰もいない丘
私の愛する故郷
微睡む私はかすかに彼のはしゃぐ声を耳にする
すっかり少女に返ってた私はその一瞬で大人に戻った
「川辺に真っ黒で変な動物が2匹いるんだ! モグラでもネズミでもビーバーでもない。はじめて見るんだ!」
彼に駆け寄り川辺に目をやると
黒く美しいミンクの夫婦が可愛らしく並んでこちらを見ていた
こどもたちはカブトムシやクワガタに夢中
太い木を強く蹴ると
面白いほどカブトムシが落ちてくる
気づけば空は赤く焼け
四つの陰が長くなった
冷たいビールにジンギスカン
とれたての甘いトウモロコシ
夕日を眺めながらおが腹一杯になり
数種類の虫の声を聞きながら
私たちは床につく
(2000/8/)







疑心


信じるしかないんだね
どんなに思い悩み苦しんでも
状況が変わるわけでもないし
心の底が透けて見えるわけでもないし
キミのその笑顔を
今はただ信じるしかないんだよね
(2000/8/30)






悪夢


どうして君を見てしまったのか
神のいたずらかそれともこれは悪魔の誘い
地下鉄ホーム向こう側
いてもたってもいられなく
無我夢中で階段をかけのぼった
彼女は特別な女性
そう、その存在は致命的な罪
つけ睫にまっ赤な唇
僕に背を向けニヤニヤ笑う

御願いだ、こちらを向いておくれ
君にキスをしなければならないんだ
そんな僕の心をあざ笑うかのように
君は他の男を連れてきて
残酷な目眩を僕によこす
僕はもうパニック
いったいどうすればいいのだ
香水の匂いをプンプンさせ
毒蛇さえも味方に付け
また別の男を誘惑する
彼女の瞳を見たが最後
あっという間に吸い込まれ
蟻地獄に落ちてゆく
深く深く落ちてゆく
(2000/6/28)






束縛


僕の横で眠る君
ねえ、どんな夢をみているの?
「愛してるわ」
耳元でつぶやく君の声が
哀しげに感じるのは気のせい?
口紅とマニキュアとガーターベルト
そして食べかけのチョコレート
見渡せば部屋は君の香りで溢れてる

ごめん
僕には君を解放してあげる勇気がないんだ
卑怯なヤツだと思われてもいい
弱い男と詰られてもいい
恨まれてもいい
僕はいつまでも気づかないふりをする
君の優しさにつけ込んで
僕から心が離れてしまってる事を
気づかないふりをする。
(2000/6/13)