・・・・マリア的感情論 ・・・・





夜長の灯りに
想いを寄せ
あの人宛に
恋心を綴る

伝えたい思いは
はぐらかされ
結局文面は
無難な挨拶

綴っては捨て
捨てては綴り
次第に涙が
滲み出す

伝わらぬ思い
たじろぐ筆先
夜風が頬に
冷たく沁みた

思いを素直に
綴るには
成熟しすぎて
しまったようね
(2002/9/30)









幸せなら
それでいい
そう胸に
言い聞かせ
束の間の歓びに
苦悩を掻き消す

本音の部分で
僅かでも
繋がって
いられるのなら
建前など
突っぱねられる

降り注ぐその手に
この身を委ね
今宵も報われぬ
覚悟で咲き乱れる
歓びと幸せが
泡と化すまで
(2002/9/24)









貴方から注がれた
溢れる程の情熱は
私の中で
フツフツと沸騰し
その熱さに
耐えきれず
快楽と苦渋の狭間で
小さく悶える

「我慢しなくても
いいんだよ」
貴方は静かに
私の涙を拭い
震える背中を
抱き寄せた

こんなにも愛しくて
こんなにも哀しくて
遣り切れぬ思いは
果てしなく高まるばかり
唸る鼓動
強請る吐息
いつまでもこんな風に
繋がっていたいのに・・・
(2002/9/23)








- 情事 -


紅く染まる
肌にスルリと
滑る指先が
脳裏を溶かし
これが愛だと
錯覚しそう

欲情は次第に
唇を這わせつつ
静かにゆっくりと
爪先まで辿り着き
押寄せる歓びに
掻き乱され
深く揺らめき
大きくうねる

季節外れの
熱帯夜
奈落の底が
瞼を掠め
それでも二人は
激しく溶け合い
欲情の全てを
飲み干すことに
(2002/9/22)











しっかりと
私を見つめる
その仕草が
笑えるほど安っぽい
嘘に感じてきて
咄嗟に私は
目をそらした

気にかける素振りは
もうよしてよ
私だって大して
貴方のことなど
気にかけて
いないのだから

理不尽な苛立ちを噛み殺し
寂しさを埋める為の
無難なくちづけ
貴方の瞳を
見つめ返しながら
「私もよ・・」と
嘘のお返し
(2002/9/10)











あの日
観覧車に
揺れながら
願っていたのは
貴方からのくちづけ

でもあの日
私を抱き寄せ
唇を重ねつつ
貴方が思っていたのは
あの女性のこと

色は思案の外
なんてよく言ったものね
語らなくても
色事は
滲み出るものなのよ

当り障りのない
貴方からの提案

「距離を置きたいんだ」

あの日からずっと
覚悟していたわ
この日が来るということを
震える唇を噛締め
ただ押黙る私
(2002/9/2)











あれほど待ち遠しかった
夏も終わりに近づき
次に待っているのは
虚しさを埋める為の
面倒な作業
もしかしたら
何も始まっていなかったのかもしれない
くちづけがきっかけだったのなら
錯覚という名の
悪魔にささやかれたのかも
ただ熱く燃えるだけで
向き合えなかった
偽りのひととき

頑なで強情な私に
貴方はきっと
嘆く事でしょう
終わらせる理由など
ないのかもしれない
それでも
誤魔化しで気持ちが
汚れる前に
美しさの限界を
越える前に
(2002/8/27)











貴方を思うだけで
幸せよなんて
ほんの建前
できることなら
貴方の腕も背中も吐息も
全て傍らに置いて
抱きしめていたい

「今度、いつ会えるの?」

微かに響く
貴方の舌打が
私の心を
ズンと突き刺し
ジンワリと
涙が滲む

無言で煙草を吹かす
貴方の心に
私はいない
報われぬと知りつつ
縋るように
貴方に凭れかかり
ぼんやりと
吐き出す煙を眺めて

凭れかかる私を
振切るように
立ち上がり貴方は

「じゃあな」

視線も合わせず
部屋を後にした
慌てて貴方の
後を追いながら

「ねえ、今度いつ・・・」

そう心で何度も叫び
貴方の車が
見えなくなるまで
笑顔で手を振る
晩夏の夜
(2002/8/21)











貴方と出会い
覚えたことは
お酒の味と
嘘をつくこと

窓に映る
一人ぼっちの私を
雨が濡らし
ずぶ濡れのよう

今夜もきっと
貴方は来ない
繋がらない携帯は
ガラクタ同然

持て余す唇を
強く噛締め
タバコの火を
捻り消し

どのくらい飲んだのかしら
今夜のお酒は
酔いが回らぬ分
心に深く堪えるわ

お酒を飲み干す代わりに
私の心から
貴方がいなくなることなど
ないのにね

貴方にも
味わって欲しい
絶望の極限に
追い遣られた夜
(2002/8/19)











もっともっと
もっとつよく
もっともっと
もっとあじわって
とけてきえるほど
あまくせつなく
もっともっと
もっとつながって
こころからませて
もっともっと
みつめあって
そまりあって
もっともっと
そしゃくして
のみこんで
もっともっと
もっとあいして
もっともっと
もっとこいして
もっともっと
もっとふかく
とめどなく
えいえんに
(2002/8/19)











心に痛みを抱えた時
ふと海が恋しくなる
海辺にただ
佇むだけで
深い安らぎを得られるの

きっとそれは
9ヶ月間
母の胎内の
海水に似た羊水の中で
安らかに守られた
柔らかく懐かしい感覚が
心に沁み残っているからね

海に感じる
癒しの力は
母の愛
優しく包み
悩みに耳を傾け
痛んだ心を慰め
スーっと吸い取ってくれるの
海辺を散歩するだけで
不思議に心の痛みが
穏やかな波と共に
静かに消え去って行くの
(2002/8/1)











もう二度と
飾らない
装わない
そう決めたはずなのに
今度の恋も
こうしてまた
理想の女を
演じてしまう
哀しい性

愛して欲しいと
願う気持ちが
いつもこうして
複雑に絡まって
抱かれる度に
不安は募り
七転八倒の
心模様

笑っちゃうくらい
ワンパターンね
スルリと巧みに
抱きすくめられ
気づけばまた
いつのまにか
男を軸に
自転しているわ
(2002/7/26)











突然サヨナラを
告げられた翌朝
カーテンの隙間から
覗いた空は
無情なほど蒼く眩しく
弱り切った
私の涙腺に
追い討ちをかける

電話で別れを
告げるだなんて
卑怯なやり方よね
私はただ
泣きもせず
叫びもせず
震える両手で
受話器を握り
沈黙するのが
精一杯だったわ

心を奪われたまま
身体だけ置き去りにされて
私はこれから
どうすればいいの?
今更ながら
貴方が恋しくて愛しくて
拭いきれぬ
未練に押し潰され
最後まで
理解ある女を
演じきる自信が
ないのよ
(2002/7/18)











いつもより早く目覚め
ゆっくりとシャワーを浴びた
子ども達が笑顔で
「オハヨウ♪」
と、起きてきた
コーヒーを片手に
朝食の準備
フレンチトーストが
ほどよくできた
彼がパラパラめくる
新聞の音に
子ども達の無邪気な
笑い声に
フッと微笑が零れる朝
(2002/7/11)







なりたての夏
もぎたての恋
甘酸っぱい予感を
ガブリと頬張る
(2002/7/4)













ほの甘く酔える
何気なく
愛しい日々
いくらふらついても
泥酔しても
さりげなく伸びる
大きな腕に
居場所をしっかり
確認する

貴方の姿を
追いながら
逞しく生きるわ
どこまでもしっかりと
いつまでも相応しく
どこまでもいつまでも
もう二度と脇を
すり抜けてしまわぬよう
ずっとずっと寄添って
(2002/6/20)











夢見る夢男 Mr.K


「昔から文章を書くのが好きでね
自作の小説が有名な文芸誌に掲載されそうでさ、
映画の脚本も何本か書き終えたし
エッセイやコラムの執筆もOK。
あとはチャンスが来るのを待てばいいだけさ。」

「ふーん、私も文章を書くのは好きだけど、
なかなか掲載なんて無理な話だし
それより文章で生計を立てるだなんて夢のような話しよね?
貴方はどうやって生計を立ててるの?」

「バイトとか色々。一生の仕事にしたい職種に
なかなか運悪く巡り合わなくてさ。
小さい頃、もっとピアノを続けれいれば
今頃はピアニストだったんだけどな。」

「そうなの?すごいわね。ピアノ習ってたんだ?
私も習ってたけど、ソナタまでで挫折したわ。貴方は?」

「うん、ピアノの他にも色々とね。ドラムやギターなんかも。
とりあえず色んな楽器に触れたかったからね。」

「・・・・・。(なーんだ、ただの飽きっぽいヤツってことか)」

「実はさ、文章を書く傍ら、レーサーになるのも密かな夢でね。」

「は????れ、レーサー?」

小さな実績を出世への大きな一歩だと勘違い
自分探しが大好きな男
そう、夢見る夢男、Mr.K
「あと一歩」だった話しが多い

夢を大きく語る割りには
義務や責任がかったるく
いつのまにやら切れた凧
途中で壁にぶつかっても
乗り越える気などさらさらない

「あの仕事は最初から俺に向いていなかったんだ」

余りの浮ついた生き方を
少しでも指摘したならば

「お前は俺の才能や生き方に嫉妬しているんだろう?!」
「理解がないところは、他の連中と同じだな!」

などと理解不足を責めてくる
こんな男と一緒にいたら
失望と苦労を味わうだけ

「私は進む道がわかっている男性が好きなのよ。
人生は自分の手で切り開くものだと思うし
いつ実現するかわからない夢に
付合っているほど若くはないわ。
ごめんなさい。別れましょう。」

道を知らないタクシー運転手との恋は
高くつくことを覚悟しよう
あてのない白タクもどきの恋愛タクシーは
運賃メーターが上がらないうちに
とっとと降りるのが賢明かも
(2002/6/18)







- 密会 -


息を殺し
小声で愛を囁きながら
激しく抱き合い
唇を貪り合う
夜の非常階段
(2002/6/7)