・・・・マリア的感情論
・・・・
- 薄い恋情 -
戯れにしては
惜しいほど
できずぎていた
ひと夏の情事
気づけば履歴を確かめ
リダイヤルの誘惑が
情けないほど
鼓動を早める
夢の後を追ったところで
追いつくわけがないのに
野暮なアタシ
どうかしてる・・・
複雑な切なさを
打ち消すように
微温くなった麦酒を
一気に流し込んだ
(2004/7/20)

あなたを思う気持ちは
たとえ灰になっても
決して崩れたりしないわ あなたの為なら
未来なんか容易く引き止められる
たとえどんなに先でも
そこで必ず待っているから
・・・待っていたいから
(2004/7/19)

- 嘘でもいいから -
「嘘でもいいから
愛してると言って」
「嘘でもいいから
信じていいと言って」
「嘘でもいいから
忘れないと言って」
「・・・ごめんなさい・・・
私、どうかしてたわ・・・」
あなたの哀しげな無言の微笑に
言葉の行き先を推し量り
嘆息の声を押し殺しながら
私は一人
心を冷やしに
シャワールームへ
(2004/7/5)

- フェーン風 -
甘い罪の意識も
惑いも錯覚も
交わした吐息も
二人の影と共に
強風に吹かれ
塵となり
闇夜に暗む
だから
記憶にも
刻まれない
そして今
何事も
なかったかのように
沈黙の中
カーナビの案内が
淡々と響く
(2004/5/11)

苦しくて
ただ苦しくて
この気持ちの
遣り場がわからず
仕方ない
忘れよう
そう理解しつつも
数えるのは不安と焦り
いつの日か
摘んだ四葉の
ハートの形に
未来を翳すと
往生際が悪い
見苦しいと
もう一人の自分が
せせら笑う
(2004/5/9)

- Secret -
首筋に
顔をうずめる
貴方の髪を
優しく撫でて
ふと見上げた
夜空の月
内緒よ
内緒ね
腰に回す腕も
重ねた唇も
交わした吐息も
取り乱す眼差しも
内緒よ
内緒ね
次第に曇る
窓ガラスも
肘で鳴らした
クラクションも
弾みで千切れた
シャツのボタンも
この罪深さ全て
内緒よ
内緒ね
(2004/2/4)

あっさりと
はぐらかされる
恋心
(2004/2/2)

- 薄れ行く月 -
胸ポケットで震える
携帯電話を握り また席を立つ
あなたの後姿に
縋り付きたい
思いを抑え
儚げに浮かぶ
痩せた月に
目をやりながら
バッグの中の
タバコを探る
手の内を明かせば
只の女よ
あなたが思っているほどの
女なんかじゃなくて
どうしようもなく
薄っぺらで
弱虫な
只の女
「帰ってあげたら?
私は大丈夫だから」
奪いたいと
思えば思うほど
臆病風に
吹かれてしまう
大丈夫なんかじゃ
ないくせに
心に潜む
情熱がスルリと
滑り落ち
儚げに浮かぶ
微かな光が
今夜もまた
薄く薄く
削られる
(2004/1/26)

下手な言い訳なら
聞きたくないし
慰めの言葉なんか
いらないわ
哀れみの涙も
無用だし
もうこれ以上
悪戯に期待を
持たせないでくれる?
終わらせたいのなら
グズグズしないで
潔く
平手打ちしてよ
そして
冷酷な後ろ姿を
見せつけてよ
縋りつく余地など
微塵も残さず
きっぱりとこの関係に
けりをつけてよ
(2003/10/23)

寂しくなんかないわ
だなんて
強がってみても
あっさりとあなたは
私の心の紐を解く
スルスル スルスル
優しく 巧みに
スルスル スルスル
切なく 愛しく
(2003/9/30)

- 夏の雨 -
降りしきる
生ぬるい雨に
少しずつ本音を
押し潰され
哀しんでいるようにも
気丈にさえも感じる
この不安定な
心の中
始まりがあった
わけでもないのに
終わりにしましょうよも
ないわよね
勘違いは
私の気休めだったの・・・
・・・そう
いつものこと
私はいつも
一番にはなれない女
男の影に
添うことしかできない女
疲れたあなたと
諦めの私
そして
意識を惑わす
生ぬるい夏の雨
(2003/7/25)

- 願事 -
何を願ったの?
なんて訊くのは野暮
偶然流れた
星を眺め
沈黙する二人
星にすら
託すことのできない
この思い
厳しい現実を
思う度
願う資格など
あるはずもなく
「・・・そろそろ帰らなきゃ・・・」
「・・・ええ、そうね・・・」
見てはいけないものを
見てしまったかのように
いそいそと
車へ向かう二人
「今度・・・いつ逢えるの・・・?」
「わからない・・・また連絡するよ・・・」
「・・・そう・・・」
あなたからの連絡が
必ずありますように・・・
そう
強いて願うなら
只其れだけ
(2003/6/3)

- 切り札 -
見つめ合い
手を伸ばし合い
流れのまま
絡み合い
心までをも
激しく裂き合い
奪い合い
愛し合った日々
気づけば6月
外は雨
あなたを前に
唇をきつく
噛む私
涙は最後の切り札
取り乱したのは
予想外
しとしと しとしと
降り続く雨
枯れないように
どうか二人の心を
湿らせて
泣く振りをして
祈るように埋もれた
あなたの胸の中
(2003/6/1)

欲望と理性との狭間で
夢は軋み出し
現実は蝕まれ
これ以上
心を奪い合うのは
やめにしたいと
思うのに
そのうち痛みなど
感じなく
なるのでしょうか
罪悪感に
左右されることなく
陰を重ねて
行けるのでしょうか
(2003/4/24)

あれは幻
そう
確かめなくても
わかってること
私に重ねた
あの温もりは
刹那という名の
春の夜の夢
「オモイデナド ショセン アシカセ」
呪文のような
貴方の囁きが
細波のように
寄せては反し
それでも尚
微かに舞い散る
昨夜の残り香を
必死に手繰り寄せる
私がいる
(2003/4/23)

「好きになったんだから
仕方がないよ。」
「そんな簡単に
言ってのけちゃっていいの?
・・・私、本気にするわよ。」
確かそんな会話から
始まった関係
「本気にするわよ」なんて
盛り上げる為の常套句
貫ける勇気など
ないことは
最初から
わかっていたはず
なのに・・・
なのに・・・
薄紅色の花びらが
雨に叩き散される如く
ざわめく想いは
押し潰されて
きっと今夜も
ある筈のない連絡を
らしくもなく
明け方まで
待ち侘びることに
なるのでしょうね
(2003/4/11)

- 秘密 -
「友達として そばにいる分
叶わない思いに せつなくなる時があるの・・・」
彼女は突然
そんなことを呟き
缶ビールを飲み干した
狂おしく咲き乱れる
薄紅色した桜の花弁が
彼女の栗色の髪に
ひらりと舞い落ちた
幻想の世界に
迷い込んでしまったような
不思議な錯覚を
おこさせる夜桜は
清らかで
エロティックで
儚くて
狂おしくて
そう
それはきっと
満開の夜桜が
そうさせたのでしょう
幻想の世界に
すっかり迷い込んでしまった二人
叶うはずのない思いが
叶いかけた一瞬
ふと気付けば
唇と唇が
当り前のように
重なり合っていた
清らかで妖しい
女同士の秘密
(2003/4/1)

一人分の
食事を用意し
ワイングラスを
紅く満たす
「かもしれない」話を
信じた私が愚かだった
秘密裏に交した
罪深い約束
今夜は二人で
祝うはずだった
32回目の
誕生日
Happy Birthday to Me
酔いに任せ
擦れる声で
口ずさんでみる
二人の幻想は
何一つ形にならぬまま
あっけなく
終幕を迎え
その程度の
女だったということね
込上げる涙
滲む紅色
(2003/3/7)

「うそつき!」
精一杯の捨て台詞
「・・・ごめんな・・・」
勝ち誇った謝罪の台詞
武器にならない
涙が今更
ポロポロポロポロ
頬を伝う
沈黙は行き場を失い
居た堪れないあなたは
躊躇しながらも
3年間の記憶と共に
私を過去に葬ろうとしている
(2003/2/25)

それでも私はいつだって
あなた専属でいたいのだから
私は私でいることよりも
空回りする未来を見据え
ただの女でいることを選んだのだから
(2003/2/23)

消えてなくなりそうなくらい
儚く感じるのは
何故なのかしら
こんなにもピッタリと
ひっついているのにね
ひっついていると
フライパンに置いた
バターがどんどん溶けるように
いつかは形がなくなってしまいそうで
とても怖くなるのよ
涙が溶け出し
崩れ行く私
それでもあなたにしがみつき
「スキよ」と
囁くの
(2003/2/20)

あ・・・
天井の模様が
いつもと違う・・・
別の男に
抱かれているんだわと
あらためて思い知る
・・・あいつは今頃
どこで何をしているのかな
なんて
馬鹿だね
あいつの事
忘れる為の
情事だというのに・・・
(2003/2/17)

- 見えない月 -
焼け爛れた心が
一枚ずつ剥がれ落ちるように
茜色の空は少しずつ色褪せ
闇が近づいてくる
「他に好きな女ができた」
心も怪我をすれば
血が流れるといいのに
そうすればきっと
あなたを引き止められるのに
「そんな顔するな、最後に抱いてやるよ」
冷たい愛撫
砂を噛むようなくちづけ
名残惜しげに
求めてくるものは
私ではなく
このカラダ
あなたがどんどん
見えなくなって行く
焼け爛れた心が
どんどん剥されていく
痛くて辛くて苦しくて
それでも受け入れてしまう哀れな私
別れるにはあまりにも
重苦しく押し潰されそうな
新月の夜
(2003/2/3)

- 悪夢 -
出口がないほど
行き詰まり
押黙る私は
溢れ出る涙を
止められずにいた
「・・・愛してるのに・・・」
小声でそう呟いてみても
貴方の心には
もう何も響かない
「愛してるだと?笑わせるな!だったらもっとオレの気持ちを考えろよ!」
また止めど無く
涙が溢れ出し
じゃあ、私の気持ちはどうなるの?
何度も何度も言いかけて
押し殺される私の思い
寂しい
抱いて
許して
優しくして
次々と言葉が巡り
心の闇へと消えて行く
きっともう
埋められない
こんなにも愛しているのに
埋められない
ふと目覚めれば
夜中の3時
ああ、また今夜も
見てしまったのね
貴方と別れた
あの日の夢を
(2003/1/7)

きっと貴方も
私と同じ事を
感じているはず
文字と姿の
不釣合い
欺きあっていた
わけではないのに
言葉の世界と
こうも違和感を
感じるだなんて
目の前のあなたは
本当にあなたなの?
それとも
言葉だけが
一人歩きしていたの?
恐ろしいほど
弾まぬ会話
噛み合わぬ相槌
目は時計を探し
続く沈黙の中
重苦しい時が
二人を襲う
「もうこんな時間・・・」
の言葉に
ホッとした表情のあなた
淡い期待は
「それじゃ・・・」
という
あなたの最後の声に
あっけなく消された
(2002/12/20)

- スナイパー -
パソコンの不具合を種に
話しかけてみる
真剣な眼差しで
キーを叩く貴方
「・・・クリスマスは彼女と一緒?」
それとなく尋ねてみる
ふと指の動きが止まり
寂しげに微笑むと
「・・・先週別れたよ。だから予定はナシ。」
そう呟きながら
再びキーを叩く貴方
知ってるわ
先週の土曜日よね
彼女と別れたのは
「あら、そうだったの。残念ね・・・・。」
私はこの時を
半年前から
ずっとずっと待っていたのよ
「君はどうするの?ああ、営業の川原とつきあってるんだったっけ?」
「・・・一昨日の土曜日にね、別れたのよ・・・。」
「え?そうなんだ?俺も土曜日だったんだ、別れたの。」
照準に狂い無し
上等な罠を拵え
たった一発で狙い打つ
そしてイヴには
貴方の心を
一滴も残さず
絡め取るの
(2002/12/5)

- サヨナラは私から -
「ごめん、明日は会えない。」
やっぱりね
わかっていたわ
だって明日は
彼女の誕生日だものね
「ううん、気にしないで。お仕事忙しいのね。」
ダメだ
これ以上
優しい言葉を交す
自信がないわ
「ああ、ホントにごめんな。」
その取繕った
低い声が
絶望感を
逆撫でするのよ
「うん、じゃあね。」
知らない振りは
もう疲れちゃった
あ〜あ
別れようかな
出会ってしまったからには
別れは必ず来るものだし
自然消滅は嫌だし
捨てられるのはゴメンだし
「あ、あのね・・・」
「なに?」
「・・・あの・・・」
「・・・・・?」
「私を本命にしてくれない男は願い下げなんだ。
じゃあね。バイバイ。」
(2002/11/7)

「誰も傷つけたくないんだ」
という
その言葉が既に
私を
傷つけているのに・・・
(2002/10/16)

秋雨に濡れる
昼下がり
別れた彼と
街角で偶然
再会した
「久しぶりね〜!元気にしてた?」
嬉しくて懐かしくて
思わず声が高くなる私
「久しぶりですね。」
妙に落ち着き払う彼の
口調は全て
丁寧語に変り
別れた二人の距離を
改めて感じた
追い撃ちをかけるように
彼の元へ
見知らぬ女性が
笑顔で駆け寄って来た
「ごめ〜ん、待った?」
「ああ、随分待ったぞ!」
「だってこんなにひどい雨なんだもん。」
甘える彼女
微笑む彼
まるで数ヶ月前
私達が交していた情景が
そこにあった
「・・・じゃあ、私はこれで。」
慌てて二人に背を向けると
土砂降りの中
駆け出した
「だあれ?あの人?」
「・・・・・・・。」
「・・・・。」
私の中で
二人の会話の
続きが聞えてくる
秋の雨は
無情にも
冷たく激しく降り続ける
(2002/10/1)
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